【バイトテロ騒動からV字回復】ステーキチェーン「ブロンコビリー」の強さの秘密 同社は「現場の意識改革を徹底した成果」と強調、今後は出店攻勢へ

AI要約

SNSの普及とともに注目されているのが「バイトテロ」と呼ばれる騒動だ。アルバイトや従業員が職場における不適切な行為をスマートフォンなどで撮影し、SNSに投稿して炎上するタイプの不祥事を指す。

ブロンコビリーは円安で輸入牛肉の仕入れ価格が上昇するなどの逆風でステーキ店の倒産が増加するなか、不祥事から復活して売り上げを伸ばしている。売り上げが順調に伸びている理由や店舗の工夫などを紹介。

中村氏によると、好調な要因には仕入れ態勢の柔軟性や店舗のレイアウトの工夫が挙げられる。牛肉の調達だけでなく、野菜の価格上昇にも対応している点が特筆される。

【バイトテロ騒動からV字回復】ステーキチェーン「ブロンコビリー」の強さの秘密 同社は「現場の意識改革を徹底した成果」と強調、今後は出店攻勢へ

 SNSの普及とともに注目されているのが「バイトテロ」と呼ばれる騒動だ。アルバイトや従業員が職場における不適切な行為をスマートフォンなどで撮影し、SNSに投稿して炎上するタイプの不祥事を指す。そうした騒動が相次いで話題となった2013年夏、アルバイトの学生が、食材を保存している冷凍庫に入った様子をSNSでアップして炎上したのが、ステーキチェーンの「ブロンコビリー」だった。現場となった店舗は閉店せざるを得なくなった。

 そのブロンコビリーだが、円安で輸入牛肉の仕入れ価格が上昇するなどの逆風でステーキ店の倒産が増加するなか、不祥事から復活して売り上げを伸ばしている。食品業界に詳しいジャーナリストの中村芳平氏は次のように語る。

「ブロンコビリーは、ステーキやハンバーグを中心としたレストランチェーン。ファミリー層をターゲットにしたレストランとして、国内に139店舗(2024年8月末時点)を展開しています。これは同業のビッグボーイに次ぐ業界2位。同社は、ここ数年多少の浮き沈みはあるものの、概ね順調に売り上げを伸ばしています。2020年からはコロナ禍の影響で停滞していましたが、2023年には売上高233億7700万円とコロナ前のレベルにまで戻しています」

 中村氏は、ブロンコビリーの好調の理由のひとつに、仕入れ態勢の柔軟性を指摘する。

「円安の影響などもあり、輸入牛肉の仕入れ価格が高騰しています。また、ロシアとウクライナの戦争の影響で飼料価格が上がり、最終商品の価格を押し上げている。特にアメリカ産の牛肉は、ここ5年で1.4倍にも値上がりしています。オーストラリア産の価格も同じく1.3%の上昇です。ただ、ブロンコビリーは肉の買い付けのルートをアメリカ、オーストラリア以外にポーランドやカナダ、ウルグアイと複数国持っており、世界の情勢を見ながら柔軟に対応することができているようです」

 店舗のレイアウトの工夫もある。店に入るとオープンキッチンが目に飛び込んでくる。客席までの動線に炭火の焼台があり、ステーキが焼き上がる様子を見られる。また、店内に設置された巨大モニターでは、調理風景がライブ中継される。単に料理を提供するだけではなく、エンターテイメントの場を提供する狙いが見て取れる。

 前出・中村氏は「他のステーキ店との違いを生む工夫は牛肉の調達だけではない」と付け加える。

「多くのステー店では、セットメニューとしてサラダの充実度を競っています。ブロンコビリーは食べ放題のサラダバーを採用しているのですが、ここにも強さの秘密がある。最近は肉だけでなく、野菜の価格も上がっています。ブロンコビリーは安定した価格で野菜を仕入れるために、日本全国の農家と直接取引を行なっています。仕入れ地域を広げることで、季節ごとに調達地域を変え、低価格と高鮮度を保っているのです。また、サラダバーの野菜は、各店舗で切り分けているので、食感もいいと評判ですね」