日本の新幹線輸出苦戦、汎用性高める研究支援を 東京都市大・西山敏樹准教授

AI要約

日本の新幹線は安全性と定時性を強みとするものの、専用線での運行による汎用性の欠如が海外展開を阻む要因となっている。

中国や欧州の競合他社はコスト競争力で優位に立っており、日本の新幹線は大型案件受注で苦戦している。

政府が新幹線技術の海外展開を実現するためには、国家戦略に基づく支援やシステムの汎用性向上に取り組む必要がある。

日本の新幹線輸出苦戦、汎用性高める研究支援を 東京都市大・西山敏樹准教授

中国が高速鉄道の海外輸出攻勢に出る中、日本の新幹線の海外案件は数少ない。東京都市大の西山敏樹准教授は、日本の新幹線には安全性と定時性という強みがあるものの、専用線で運行することで汎用(はんよう)性に欠けると指摘。本格的な海外進出には国家戦略に基づく支援が必要だと訴える。

日本の新幹線システムは2007年開業の台湾の高速鉄道に導入され、現在建設中のインド西部の高速鉄道にも採用されているが、ほかに大型案件の受注がない。15年にはインドネシアの高速鉄道の受注で中国に敗れた。中国や欧州勢は企業の規模も大きく、コスト競争力で優位に立つ。

日本の新幹線は開業以来、乗客の事故死亡者数ゼロという安全性や高度な運行管理による定時性が強みだ。新幹線のみが走行する専用線で運行することが背景にある。一方、欧州などの高速鉄道システムは在来線に乗り入れ、既存の駅やネットワークを共用できる汎用性の高い作り方をしている。導入しやすさでは、専用的な仕様の日本の新幹線は分が悪く、輸出が思うように進まない一因になっている。

政府が新幹線技術を海外に本気で売り込みたいのであれば、トップセールスは当然だが、国家戦略として輸出に取り組まなければ難しい。車輪の幅を変えることでレール幅が異なる在来線と新幹線の両方を走行できる車両の研究など、システムの汎用性を高める開発支援などが必要になる。(聞き手 万福博之)