顧客へのメール作成不要は当たり前、Salesforce MVPが大注目のAI新機能とは

AI要約

Salesforceが生成AIサービスを大幅に強化し、顧客向けのメール作成や情報統合、対話型AIアシスタント機能を提供している。

新機能の特徴やメリット、そしてビジネスシーンでの活用が期待されている。

Salesforceが開催するイベントについても触れ、DreamforceやTrailblazerDXで新機能が発表される流れを解説。

顧客へのメール作成不要は当たり前、Salesforce MVPが大注目のAI新機能とは

 Salesforceの生成AIサービスだが、顧客向けのメール作成を大幅に効率化できる機能をはじめ、異なるデータソースの情報統合機能や、対話型のAIアシスタント機能など、今年に入って矢継ぎ早に新機能が発表されている。これら新機能の具体的な特徴やメリットとは何か、そしてどんなビジネスシーンでの活用が期待できるのか。「Salesforce MVP」で殿堂入りを果たしたNTTテクノクロスの鈴木貞弘氏が特に注目の新機能などをわかりやすく解説する。

 まず、セールスフォースが開催する各イベントについて簡単におさらいしたい。

 同社が毎年秋にサンフランシスコで開催するのが、世界最大級のイベントである「Dreamforce」だ。ここでは、これから市場に投入する新しいコンセプトについて、基調講演やブレイクアウトセッションを通じて発表している。

 このDreamforceで発表された新しいコンセプトは、次の年の「TrailblazerDX」や「Salesforce Connections」といったイベントで、業種・業態別に最適化された機能として発表され、アーリーアダプターの事例とともに詳細なイメージを参加者に伝えている。

 たとえば、Salesforceの生成AIサービスは、2023年9月のDreamforceで「Einstein GPT(注)」としてコンセプトが発表され、今年3月のTrailblazerDXで実際のユーザーが使える機能としてリリースされた、という経緯がある。

注:「Eisntein GPT」は2024年3月時点の呼称。現在はAI Cloud、Einstein GPT、各クラウドGPT製品は総称してEinsteinの呼称を使用している。

 今年3月のTrailblazerDXでは、Einstein GPTが営業支援向けの「Einstein for Sales」、カスタマーサービス向けの「Einstein for Service」というようにSalesforceの製品ごとに最適化された機能として提供されることが発表された。

 さらに同イベントでは、Salesforceの生成AIを語る上で外せない機能も発表された。

 その機能が「Prompt Builder」だ。

 生成AIを利用する上で生成AIに対して出す指示はプロンプトと呼ばれるが、従来であれば生成AIから最適な回答を得るための最適なプロンプトを作成するには、いわゆる「プロンプトエンジニアリング」が必要だった。

 一方、Salesforceでは、Prompt Builderにより、たとえば顧客向けのメール文案を生成AIが作成するためのプロンプトのテンプレートを、あらかじめ管理画面で登録しておくことができる。

 プロンプトに対してSalesforce上に格納されている顧客データや商談のデータといったさまざまな情報をグラウンディング(生成AIがより正しい回答を返すために、生成AIに対して送信するプロンプトに対してさまざまな情報を付け加えること)することで、より実際の利用シーンに即したプロンプトをLLMに送信することが可能になるのだ。

 これによってSalesforceの利用ユーザーはプロンプトを意識することなく、生成AIから最適な送信メールの文案を得ることができる。