「81歳で新人漫画賞」を受賞した漫画家 弘兼憲史は20代後半で「遅咲き」だった 松本大洋が賞賛する作品とは?

AI要約

松本大洋賞を受賞した『野球で話せ』は、プロ野球の新人テストを受ける高校生を主人公にした作品で、軽やかで清潔感のある画面やキャラクターの魅力が際立っている。

81歳の中原とほる氏が手掛けた本作は、史上最高齢となる年齢で賞を受賞し、誌面でもその異例の事実が取り上げられている。

中原とほる氏は遅咲きの漫画家で、漫画家を目指し始めたのは39歳の頃。商業誌での作品発表は滞ることもあったが、今回の受賞で再び注目を浴びている。

「81歳で新人漫画賞」を受賞した漫画家 弘兼憲史は20代後半で「遅咲き」だった 松本大洋が賞賛する作品とは?

 9月5日、「ビッグコミック&ビッグコミックオリジナル 第11回青年漫画賞」の審査結果が発表された。そこで注目を集めたのが、松本大洋賞を受賞した『野球で話せ』という作品だ。プロ野球の新人テストを受けに来た高校生が主人公のドラマで、松本氏は「軽さと清潔感のある画面、チャーミングさと不思議さのある絵で、キャラクターやモブの描き方などにもとても魅力を感じました。セリフにも重量があり、読んでいて心に響くものが多くありました」と高く評価する。

■80代で漫画新人賞を受賞

 賞金100万円と掲載権を獲得した同作は「ビッグコミックオリジナル」(小学館)9月20日号(9月5日発売)に掲載されている。あの松本大洋が賞賛する作品とはどんなものか……と雑誌を開いてびっくり。扉ページにこんなアオリ文句が打たれていた。

 「史上最高齢受賞!!  81歳、渾身の62P!!」

 は、はちじゅういっさい!?  作者の中原とほる氏に関しては、誌面にもウェブ「ビッグコミックBROS.」にもプロフィール情報がなく、受賞コメントも掲載されていない。そこで試しにネットで検索してみたら、なんとご本人のホームページがヒットした。

 「経歴」をクリックすると、「1942年5月30日生まれ。39歳(遅い! )の時、少年マガジンの『ちばてつや賞』で佳作となり漫画家をめざすようになる。現在、勤務医をしながら漫画を描いています」との記述が。なるほど、まったくの新人というわけではなかったのだ。それどころか、1993~1994年にかけて『ドクトル・ノンべ』という作品がアフタヌーンKCで2巻まで単行本化もされている。

 その後はなかなか商業誌で作品を発表する機会に恵まれず、それでも本業の傍ら創作活動は続けていたらしい。そして、ついに今回の受賞。ご本人のX(旧ツイッター)アカウントもあり、今年の2月には「恥ずかしながら、この歳で、漫画新人賞に応募して入選した夢を見た」との書き込みがある。それが正夢となったわけだ。