EV需要鈍化で「ハイブリッド」投入 フィアット600 1.2 100HPへ試乗 眼差しの割に走りは活発

AI要約

フィアット600はマイルドハイブリッドシステム搭載の小型車で、100psのパワーを持ちながらも活発な加速を見せる

電気モーターのアシストによりトルクを最大限に活用し、燃費も20.4km/Lと効率的

ただし高速域ではエンジンノイズやブレーキのソリッド感に不満が残る

EV需要鈍化で「ハイブリッド」投入 フィアット600 1.2 100HPへ試乗 眼差しの割に走りは活発

少し眠たそうな目つきのヘッドライトがカワイイ、フィアット600。フロントマスクが、ピクサー映画のカーズに登場するクルマのキャラクターへ似て見えるのは、筆者だけだろうか。あちらは、フロントガラスが目だが。

この600は当初、600eを名乗るバッテリーEVのみの設定で英国市場へ投入された。しかし需要の鈍化を受け、ハイブリッド・パワートレインの導入も決まったようだ。CO2排出量の枠組みの中でだが、大手自動車メーカーといえども、背に腹は代えられない。

600は、同クラスのジープ・アベンジャーとプラットフォームを共有しているが、パワートレインも同様。ステランティス・グループに属する、シトロエンやプジョーの小型モデルでも、おなじみのユニットだ。

1.2L 3気筒ガソリン・ターボエンジンに、電圧48Vで稼働する電気モーターと、0.9kWhという小さな駆動用バッテリーが組み合わされている。マイルド・ハイブリッドで、最高出力は100ps。追って、135psのパワフルな仕様も登場予定にある。

この電気モーターは28psの能力を持つが、最高出力には影響を与えないという。低域でのトルクをアシストし、システム総合では20.8kg-mの最大トルクを発揮する。

決してパワフルなモーターとはいえないものの、運転してみると、100psの数字から想像する以上に600は活発。エンジンの回転数が高まる前に、スルスルと加速していく。中間加速もたくましく、0-100km/h加速が10.9秒に留まることを疑うほど鋭い。

ただし、高速道路の速度域に達すると、そんな印象は薄れてしまう。3気筒ターボエンジンは、洗練されているわけではなく、高負荷時には少し荒っぽいノイズも放つようだ。

前輪駆動で、トランスミッションは6速オートマティック。加速時は、最適なギアの選択に悩むような場面があった。

マイルド・ハイブリッドとしては、アクセルオフ時の回生ブレーキが強力。右足を緩めるたび、エンジンの回転数が落ちる前に、カクンと減速が始まる印象だった。容量の小さい駆動用バッテリーの充電量を、可能な限り高く保つための制御だろう。

これは、滑らかな速度調整には適さないとしても、エネルギー効率には大きく貢献している様子。今回の試乗では、20.4km/Lのカタログ値へ近い平均燃費を得られた。

ステアリングホイールは軽く回せ、入り組んだ市街地ではキビキビと扱いやすい。そのかわり、感触はあまり優れない。ブレーキペダルの踏み応えには、もう少しソリッド感があって良いだろう。