セブン-イレブン・ジャパン“手ごろ価格”の商品を拡充 背景は?【WBS】

AI要約

セブン-イレブンが手ごろな価格帯の商品を拡充する方針を発表。消費者の節約志向に応えるため、270商品を展開。

価格競争の激化に対応するため、セブン-イレブンは値ごろ感のある商品を増やす取り組みを行う。

ファミリーマートやローソンが好調な中、セブン-イレブンは成長の鈍化を受けて今後の戦略を模索中。

セブン-イレブン・ジャパン“手ごろ価格”の商品を拡充 背景は?【WBS】

コンビニエンスストア大手のセブン-イレブンは3日、従来よりも手ごろな価格帯の商品を拡充する方針を新たに発表しました。消費者の節約志向の高まりを受け、9月中に270商品を展開します。これまでは付加価値の高い商品の充実を進めてきたセブン-イレブンですが、変更の背景には何があるのでしょうか?

セブン-イレブン・ジャパンが3日発表した新たな取り組みは、『うれしい値!宣言』として、手頃な価格帯の商品を拡充するとしています。

例えばチャーハンは味や品質はそのままに、およそ50円値下げし、348円で販売します。バターチキンカレーも従来に比べおよそ50円値下げし、348円に。こうした値ごろ感のある商品を今月末までに270商品に拡大するのです。

これまではおにぎりなど一部の商品を『うれしい値』と銘打って、従来の価格より引き下げて販売してきましたが、弁当や飲料、日用品など対象商品を大幅に拡大しました。その背景には何があるのでしょうか。

「コンビニについて、割高に感じている客が6割を超えている。フードデリバリーよりも割高に感じている客が多い」(セブン-イレブン・ジャパン 羽石奈緒・商品本部長)

これまでセブン-イレブンは品質の高いプライベートブランド「セブンプレミアム」など高付加価値な商品を強化してきましたが、値ごろ感のある商品を拡充することで、割高なイメージを払拭したい狙いです。

さらに3日から始めたのが、レジカウンター横での揚げたてドーナツの販売です。

提供するドーナツは3種類。首都圏の店舗5000店で、店内で調理したドーナツの販売を開始しました。セブン-イレブンでは、過去にも店内でドーナツを販売していましたが、2017年に一度撤退。当時は工場で揚げたものを販売していましたが、今回は、人気商品となった店内調理のカレーパンのインフラを活用。揚げたてを提供することで差別化を図り、ドーナツ販売に再挑戦するとしています。

さらに、先月には一部の店舗でピザなどの宅配サービスを開始。注文から最短20分で、できたてを配送可能です。多様化するサービスで狙うのは、新たな客の獲得です。

「カウンターフードのドーナツや新しい宅配ピザにも挑戦していて、価格も一つだが、品質や新しさ、品ぞろえなど、(求めるものは)客によって違う。来店につながる商材について、積極的に取り組んでいきたい」(羽石・商品本部長)

ただ、セブン-イレブンは、足元では成長の鈍化も。

セブン&アイ・ホールディングスが発表した今年3月から5月までの国内コンビニ事業の営業利益は、前の年に比べて4%減少しました。

一方で好調なのが、ファミリーマートとローソンです。ファミリーマートは店内で販売するオリジナルの衣料品ブランド「コンビニエンスウェア」が好調のほか、ローソンは増量キャンペーンや店内調理の商品などが効を奏し、既存店の売上高が前の年を上回る結果となっています。

セブン-イレブンが伸び悩む中、今後の戦略について羽石・商品本部長は、「客数減少の中で一定程度「価格」という価値観を重要視している客に対して、しっかりとアンサーの一つとして対応していく」と話しました。

※ワールドビジネスサテライト