EV電池量産へ1兆円投資 官民連携し出遅れ挽回

AI要約

蓄電池の生産拡大を目指す官民の取り組みが本格化。トヨタやSUBARUなど大手企業が巨額投資を発表。

国内蓄電池生産能力が拡大し、2030年までに150ギガワット時強化を目指す。さらなる支援も検討中。

日本メーカーが競争環境の厳しさに直面し、魅力あるEVを開発する課題が浮上。

 電気自動車(EV)の主要部品である蓄電池の生産を拡大する官民の取り組みが本格化した。

 経済産業省は6日、トヨタ自動車やSUBARU(スバル)が新たに建設する電池工場などに最大で3479億円を補助すると発表。トヨタなど大手4社と電池関連企業の投資額は総額1兆円に上る。蓄電池を国内で供給できる体制を整え、米中勢が先行するEV分野で巻き返しを狙う。

 今回の支援により、蓄電池の国内生産能力は年約120ギガワット時と従来の約1.5倍に拡大する。政府は2030年までに150ギガワット時まで強化する方針で、さらなる支援も検討する。

 トヨタは2450億円を投じて福岡県に工場を建設し、兵庫県内の子会社の設備も増強する。蓄電池の生産能力を年9ギガワット時増やし、26年11月から順次供給を始める。日産自動車も福岡県内の生産施設に1533億円を投資。レアメタル(希少金属)を使わないためコスト削減が見込めるLFP電池を28年7月から生産する。

 スバルはパナソニックホールディングス(HD)と共同で投資し、群馬県内に工場を新設する。投資額は4630億円、生産能力の増強分は16ギガワット時と4社の中で最も多い。マツダもパナHDと833億円を投じ、大阪府と山口県内の生産能力を計6.5ギガワット時高める計画だ。

 EVは近年需要が鈍化しているほか、低価格で攻勢を掛ける比亜迪(BYD)などの中国勢が台頭し、収益性が低下している。これを受けてドイツ自動車大手フォルクスワーゲンが独国内の生産体制縮小を検討するなど、各社が戦略を見直す動きも出ている。競争環境が厳しさを増す中、蓄電池の巨額投資を回収するには、日本メーカーが魅力あるEVを開発できるかも問われそうだ。