「レナウン株式会社」は「株式会社レナウン」とは別企業、前株と後株の違いで何が変わるか

AI要約

オッジ・インターナショナルが経営破綻した衣料会社レナウンから「ダーバン」「アクアスキュータム」のブランドを引き継ぎ、社名を「レナウン株式会社」に変更することを発表した。

経営破綻した「株式会社レナウン」とは法人格である〝株式会社〟の位置の前後を入れ替えただけで、前株と後株の違いで別会社となるが、社名変更の理由や法的概念について説明がされている。

会社法では株式会社名の位置に制約はなく、「中株」も法的に認められている。IT企業を含む会社の会社名においては、前株と後株の使い分けや傾向が見られる。

経営破綻した衣料会社レナウンから「ダーバン」「アクアスキュータム」のブランドを引き継いだオッジ・インターナショナル(大阪市)が2日、11月に社名を「レナウン」に変更すると発表した。変更後の正確な社名は「レナウン株式会社」で、経営破綻した「株式会社レナウン」とは法人格である〝株式会社〟の位置の前後を入れ替えただけだ。社名の前に株式会社を入れる「前株」と後ろに入れる「後株」ではまったくの別会社となるが、果たして前株と後株の違いで何が変わるのか。

■「中株」の会社もある

オッジ・インターナショナルは、レナウンから引き継いだ2ブランドが売り上げの約4割を占める主力事業に成長していることから今回、認知度向上を図る狙いもあり「レナウン」を冠した社名に変更を決めたという。その際、社名にあった前株を後株に入れ替えた理由については、「経営破綻したレナウンとまったくの別会社として認知してもらうため、また、その債権者などに混乱を与えないため」(担当者)と説明している。

会社法では、会社名のどこかに株式会社といった法人格を入れることを義務付けているが、その位置については決めていない。一般的な「前株」「後株」に加え、「〇〇株式会社〇〇」のような「中株」も法律上は認められている。過去には「データプロセッシング株式会社ランドスケイプ」といったインパクトのある中株会社の存在が知られていた。

■IT系企業は前株多い

ベンチャー企業の設立などを支援する「SOICO」によると、「一般的に多い会社名は前株で、アルファベットやカタカナの社名は前株の方がしっくりくる場合が多く、IT系の企業なども前株が多い印象」という。主な例では、セブン‐イレブン・ジャパンやサイバーエージェント、リクルートホールディングスが前株となっている。

一方で後株は「戦前から設立されている会社は後株が多く、堅実で伝統的な印象がもたれやすい」と分析する。主な例では、トヨタ自動車や日本航空、富士通のほか、楽天など設立が比較的新しい企業でも後株の社名は散見される。

また、前株のメリットは、「株式会社を先につけることで、株式で運営している会社であることをアピールでき、信頼度アップにつながる」と主張する。対して後株は、「株式会社よりも先に会社名が来ることで会社名が目立ち、会社をブランドとして売りやすくなる」と強調。また、「五十音順で並べたとき、株式会社から始まる他の多くの会社名に埋もれることがない」メリットがあるという。