「魚が獲れないのは世界で日本だけ」”子どもの魚”まで食べ尽くす日本人…スーパーの刺身や回転寿司が消えゆく「最大の理由」

AI要約

日本の漁業が抱える問題について考察した記事。漁獲量の減少や外国漁船による違法操業などが寿司を脅かす要因であることが示唆されている。

食生活の変化や気候変動も漁業に影響を及ぼしている可能性が指摘されているが、漁獲量の減少は日本だけでなく世界的な傾向であることが明らかにされている。

記事を通じて、日本の漁業問題が寿司文化にもたらす影響や、その背景にある複雑な要因について考えさせられる。

「魚が獲れないのは世界で日本だけ」”子どもの魚”まで食べ尽くす日本人…スーパーの刺身や回転寿司が消えゆく「最大の理由」

コロナウイルスの影響もあり、最近は店舗に行っても寿司がレールを回っている光景を目にすることが減ってきたが、高価な寿司をリーズナブルに楽しめる業態の象徴として、「回転寿司」は不動の地位を確立している。

だが、世界的な「魚調達競争」の激化や国内における漁獲量の深刻な減少は、日本人の愛する回転寿司を脅かす問題となりつつある。

前編記事『世界的“SUSHIブーム”で日本人が魚を買えなくなっている…!「サーモン価格は10年で2.5倍」庶民の味方「回転寿司」に迫る危機』に引き続き、後編では日本の漁業が抱える問題を考えてみたい。

近年、日本で獲れる魚の量は激減している。漁業・養殖業の生産量は1984年にピークを記録した後、減少の一途をたどり、2021年には最盛期の1/3以下にまで落ち込んだ。

その理由として「食生活の変化により、そもそも日本人が魚を食べなくなったからでは?」と、考える方もいるだろう。

だが、実は日本の1人あたり年間魚介類消費量は80年代から90年代にかけてやや微増傾向で推移しており、ピークを迎えたのは2001年だった。つまり、80年代後半に漁獲量が減少傾向に転じた後も、魚介類の消費量は伸びていたわけで、漁獲量の減少と消費の伸び悩みを直接結びつけることはできない。

読者の中には「中国や北朝鮮の漁船が日本の海で乱獲している」という“説”を見聞きしたことがある方もいるかもしれない。たしかに、新潟県と石川県の沖合にある日本海大和堆(やまとたい)周辺では、中国や北朝鮮の漁船による違法操業が多数確認されている。2018年から2019年にかけて水産庁から退去警告を受けた外国漁船の数は、年間5000隻以上に及んだ。

とはいえ、こうした外国漁船による違法操業などが漁獲量減少の決定的な要因であるとは考えづらい。なぜなら、外国漁船の影響を受けにくいはずの太平洋沿岸でも、漁獲量は大幅に減少しているからだ。

また、「最近の気候変動が影響しているのではないか」という考え方もあるだろう。

もちろん、海の環境変化によって漁獲量が減っている魚種があることは否定できない。

しかし、仮に気候変動によって魚が獲れにくくなるのであれば世界的に漁獲量は減るはずだが、現実は異なる。世界の漁業生産量は一貫して増加傾向にあり、日本はそのなかで取り残されているのだ。