米雇用統計、9月より先の利下げ判断を左右か「81.8万人改定」影響も

AI要約

米連邦公開市場委員会(FOMC)では、利下げ決定がほぼ確実視されているが、今後の労働市場指標が追加利下げの必要性を示す可能性がある。

8月の雇用統計や失業率の動向が注目されており、7月からの労働市場の減速について懸念が広がっている。

雇用者数や求人件数のデータが公開される中、市場や政策担当者の関心が高まっている。

米雇用統計、9月より先の利下げ判断を左右か「81.8万人改定」影響も

(ブルームバーグ): 9月17、18日に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)では、利下げ決定がほぼ確実視されているが、8月の雇用統計など、今後発表される労働市場に関する指標が、追加利下げの必要性を巡り政策担当者に洞察を与えることになろう。

パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は8月23日のジャクソンホール会合(カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム)での講演で、9月の利下げを示唆し、労働市場のさらなる減速を「求めもせず歓迎もしない」と発言。その数週間前に公表された7月の非農業部門雇用者数は伸びが予想を下回り、失業率は前月より0.2ポイント高い4.3%と4カ月連続で上昇した。

米失業率またも上昇、雇用者数は予想以上に減速-9月利下げ固まる

ブルームバーグが調査したエコノミストの予想中央値によれば、今週6日発表の8月の雇用統計で、非農業部門雇用者数は約16万5000人増えると見込まれる。

これは7月の11万4000人という控えめな数字こそ上回るが、直近3カ月の雇用者数の伸びは平均15万人強と、 2021年の初め以降で最も小さくなりそうだ。8月の失業率は4.3%から4.2%に低下する公算が大きい。

雇用統計に先立ち、4日には7月の求人件数が公表される。過去3年余り見られなかった低い水準を若干上回るものの、6月の818万4000件から810万件に減少し、3カ月ぶりの少なさとなる見通しだ。

求人件数の統計には、レイオフや解雇のデータも含まれており、大幅な増加が示されれば、米連邦準備制度の当局者らが労働市場の弱さに懸念を深めることもあり得る。

米求人件数は減少も予想上回る、前月は上方修正-軟化傾向に逆行

ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のチーフ米国エコノミスト、アナ・ウォン氏らは「非農業部門雇用者数は7月の不本意な数値から改善される可能性が高いが、労働統計局(BLS)の基準改定値(速報値)で、24年3月までの年間雇用者数の伸びが81万8000人下向き修正されたことを受け、連邦準備制度の当局者らは恐らく、初出の数字を額面通りに受け取ることをためらうだろう」と指摘した。