日産の4~6月営業益「99%減」も欧州好調なワケ e-POWERの光る存在感、“米中依存”脱却は可能なのか?

AI要約

日産自動車の2024年度第1四半期決算では連結営業利益が大幅に減少し、営業利益の主な要因は米国内での販売競争激化への対応と各種費用増加である。

売上高は微増だったものの、営業利益が低迷しており、米国での販売台数も減少傾向にある。それに伴い、日産自動車の業績予測も悲観的な内容に修正されている。

製造台数の増加が鈍化する背景にはモデルイヤー切り替えやハイブリッド市場の変化があり、業績の向上にはさらなる課題が待ち構えている。

日産の4~6月営業益「99%減」も欧州好調なワケ e-POWERの光る存在感、“米中依存”脱却は可能なのか?

 7月下旬、日産自動車が公表した2024年度第1四半期決算において、「連結営業利益」が対前年同期比-99.2%を記録したことで大きな話題となった。

 連結営業利益は、企業グループ全体の本業による利益を示す指標だ。複数の関連会社を持つ企業の場合、それらをすべて合わせて計算する。具体的には、商品の販売やサービスの提供といった本業から得られる収益から、製造コストや人件費、販売費用などを差し引いたものが「営業利益」だ。これに、グループ内の他の会社の営業利益を合算したものが連結営業利益になる。つまり、

「企業全体が本業でどれだけ稼いだか」

を示す指標で、経営の健康状態や業績を把握するために重要な数値だ。

 さて、日産自動車の2023年度第1四半期決算と比較すると、

・2023年度第1四半期:売上高29177(億円)、営業利益1286(億円)

・2024年度第1四半期:売上高29984(億円)、営業利益10(億円)

 売上高は微増であったが、営業利益が大幅に減少していることがわかる。日産自動車によると、この原因は米国国内における販売競争激化への対応のほか、

・在庫適正化に向けた販売費用

・マーケティング費用の増加

による。ちなみに米国での第1四半期販売台数を比較すると、

・2022年度第1四半期:183(千台)

・2023年度第1四半期:244(千台)、対前年33.4%

・2024年度第1四半期:237(千台)、対前年-3.1%

となっている。2023年度第1四半期は、前年度の半導体不足などによる製造台数減が一段落したことから、対前年33.4%増となった。しかしながら、本年度に入って伸びが鈍化している。背景には、

・モデルイヤーの切り替え

・平均車齢の悪化

・ハイブリッド市場の拡大

がある。日産自動車は、第1四半期決算の発表にあわせて業績予想を見直し、売上高こそ4000億円上積みして14兆円としたものの、営業利益は-1000億円、世界販売台数-5万台(うち北米-2万台)とみている。