「成績が良かったらお金をあげる」は正しいのか…子どものお小遣い「定額制」と「報酬制」を試した親たちの"本音"

AI要約

子どもへのお小遣いのあげ方について、統計データやメリット・デメリットを比較しながら解説しています。定額制と報酬制の違いや、お金との付き合い方に与える影響について詳しく述べられています。

報酬型のお小遣い制度は、子どもの成績によって導入するケースがありますが、適切な年齢や子どもの性格によっては向かない場合もあることが指摘されています。

親がお小遣いを渡す際に、子どものマネー習慣に与える影響にも言及されており、過度な制限や押し付けは避けるべきであるとアドバイスされています。

子どもへのお小遣いは、どのように決めればいいのか。金融教育家の上原千華子さんは「家の手伝いや成績に応じてお小遣いをあげる報酬型は少数派で、子どもへの影響を気にしている親も多いようだ。『金銭でモチベーションを上げる』こと自体は不自然なことではないが、向かない子どももいる」という――。

■お小遣いをもらっている子どもは7~8割

 子どものお小遣いのあげ方は家庭によってさまざまです。将来の金銭管理スキルやお金の価値観に影響するため、渡し方に悩む親は多いようです。

 今回は、お小遣い制度の比較や実例を通して、注意点や金銭感覚を育むポイントを解説します。

 少し前のデータですが、金融広報中央委員会「子どものくらしとお金に関する調査(第3回)」(サンプル数5万149人)によると、小学生の約7割、中学生・高校生の約8割がお小遣いをもらっています。小学生低学年(1・2年生)では、時々もらっている子が多く、学年が上がるにつれて定額制が増えています。

 金額は、小学生だと月に500円、中学生は1000円、高校生は5000円というケースが多いようです。

■定額制のメリットは「計画性が身に付く」

 中学生・高校生になると、家の手伝いや良い成績などの条件付きで、報酬制も見られます。全体の1割前後であるものの、「報酬制にしたいが、子どもへの影響はどうなのか?」といった質問が多いのも事実です。

 定額制と報酬制それぞれにどんなメリット・デメリットがあるのか見ていきましょう。

 ・定額制

 最大のメリットは、経済的な安心感を与えられることです。また、計画的にお金を使う習慣が身につきやすくなります。親にとっても金額や支給日が決まっているため、管理がしやすい利点があります。デメリットは、子どもが「お金はもらって当然」と誤解しやすいことです。

■成績連動の報酬制は14歳から推奨

 ・報酬制

 報酬制は主に2種類あります。ひとつはお手伝い報酬、もうひとつは勉強やスポーツなどの成績に連動する成果報酬です。

 お手伝い報酬は、労働の対価としてお金を得る経験ができます。ただ、「家事は家族で助け合うもの」と考える家庭には、あまりフィットしないかもしれません。大人になれば、家事は基本的に無償です。お手伝いがお金目的になり、人のために役立つ喜びが薄れる可能性があります。

 成績連動型の成果報酬は、子どものやる気を引き出すために導入するケースが多いようです。「打算的な思考を植えつける」「目の前にニンジンをぶら下げて走らせるのはよくない」など、否定的な意見もある一方、後ほど紹介する事例のように、工夫次第でうまく運用できます。

 実社会に目を向けると、業績連動型賞与もありますし、「金銭でモチベーションを上げる」こと自体は不自然なことではありません。しかし、自分の価値観が未熟な13歳以下の子ども(※)や、成績連動型がプレッシャーになる子どもには、向かないでしょう。

 ※子どもが社会の一員としての自覚を持ち、自立への準備を進める「社会化期」は14~21歳とされている。詳しくは前回記事を参照

■「使っちゃダメ」が口癖になっていないか

 私の専門であるファイナンシャル・セラピー(金融療法)の観点から、お小遣いの渡し方を考えてみましょう。

 お金との付き合い方に影響を与えるものに、「マネー回避」と「拝金主義」があります。

 ・マネー回避

 お金を拒絶したり避けたりする状態です。たとえば、節約しすぎる、過度にリスクを怖がる、お金を管理したがらないなどのマネー習慣がつきやすくなります。

 親がお小遣いを渡しながらも、

 「必要最低限しか使っちゃダメ」

「うまく行くかどうか分からないことに使っちゃダメ」

「宵越しの金は持つもんじゃない」

 などと、価値観を押し付けて子どもを制限するのは気を付けましょう。前回記事〈「うちは貧乏だから」と気軽に言ってはいけない…子どもの金銭感覚を狂わせる「親のあぶない口癖」〉も合わせてご確認ください。

 小学生のうちは、積極的に一緒に買い物に行くなど、親がお金の使い方のお手本を見せながら、一緒にお小遣い帳をつけるとよいでしょう。