スターマー英首相、財政再建へ「痛み」伴う予算案警告-増税に布石か

AI要約

スターマー英首相は、10月に提示される予算案が痛みを伴うものになると警告し、国民に理解を求めた。

新政権の政策運営に関する初の説明の機会で、増税への布石を打った。労働党が地滑り的勝利を収めた選挙後、財政再建が必要な状況に追い込まれている。

英国は慎重な財政運営を行うことで英国債への買い安心感につながり、国債が上昇する中でも比較的安定していたが、保守党は労働党の財政方針を批判している。

(ブルームバーグ): スターマー英首相は27日、政権が10月に提示する予算案は「痛みを伴う」ものになると警告し、「長期的な利益のために短期的な痛み」を受け入れるよう国民に理解を求めた。

スターマー氏は英議会が夏季休暇から来週戻るのにあわせ、国民向けに演説。7月の選挙で労働党が地滑り的勝利を収めて以降、新政権の政策運営に関して説明する初の適切な機会に、増税への布石を打った格好だ。

「事態は想像以上に悪化している」とスターマー氏は指摘。財政再建が必要な状況に追い込まれているのは、保守党政権下での「14年間の腐敗」のせいだと批判した。その上で「痛みを伴うだろう。現在の状況を踏まえれば、他に選択肢はない」と語った。

今回の発言からは、労働党が引き継いだ負の遺産に焦点を当てることが依然として政治的利益となり、英国民も今のところは一段と暗い見通しを容認するだろうと首相が踏んでいることがうかがわれる。

世界的に国債が上昇する中、英国が慎重な財政運営を行うとの見方がこれまで英国債への買い安心感につながっていた。今年に入り4.4%まで上昇していた英10年債利回りは現在4%前後まで低下。ポンドは対ドルでおよそ2年ぶりの高値近辺にある。

一方、下野した保守党は、英国の財政は選挙前から明白だったと主張。労働党が選挙公約を反故(ほご)にする口実にしていると非難している。

原題:Starmer Warns of ‘Painful’ Budget to Rebuild UK Finances (2)(抜粋)

--取材協力:Aline Oyamada.

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