介護しなかった弟の妻が94歳母にコソコソ遺言書を書かせ財産を“横領”…粉骨砕身の71歳姉が泣き寝入りの訳

AI要約

最近、終活疲れという言葉が増えており、子供との意思疎通や祭祀財産の継承に関する問題が顕在化している。

葬祭実務に従事した二村祐輔さんは、終活に関して子供に委ねるべき部分が多いと説く。

現代の環境変化により、祭祀財産の継承がトラブルの原因になっていると指摘されている。

■仏壇や墓石の継承で戸惑う人が増えている

 最近、見聞きすることが多くなった「終活疲れ」という言葉。息子が「エンディングノート、書き終わった?」とせっついてきたかと思えば、娘は娘で「こんな納骨堂が近くにできたそうなの。素敵じゃない」と言ってくる。サポートのつもりだと理解しているものの、「おまえたち、私が死ぬのを期待しているんじゃないか」と、疑心暗鬼になる人も。次第にモヤモヤした気持ちが払拭できなくなって、精神的に衰弱してしまうケースもある。

 「子供に迷惑をかけたくないというのが、終活に取り組む最大の動機だったはず。しかし、細かいことにまで気を揉んだり、周囲の情報に振り回されたりして、終活に対する意欲が萎えてしまうようですね」

 こう語るのは、葬祭実務に18年間従事してきた、日本葬祭アカデミー教務研究室の二村祐輔さんである。

 「財産の相続など死後に想定される揉め事を避ける手立てなどをあらかじめ決めて、生前に意思表明しておくほかは、子供たちに委ねてしまえばいいと考えるようになりました。終活の対象が全部で『10』あるとしたら、親の希望や要望は2割くらい。後の8割は子供に委ねましょう」

 実は、細かい記入項目の多いエンディングノートの生みの親は二村さんだ。20年前に著作物として世に出し、著作権を放棄してから徐々に普及してきた。その二村さんが、終活に対する考えを変えたのは、子に対する「迷惑」の状況が変わってきたから。

 「20年ほど前まで、葬儀費用は平均で300万円近くもしました。それが今では100万円以下です。また一昔前まで、葬儀は隣近所や町内会の世話役さんらの力を借りて、料理を作ったり、祭壇の準備をしたり、他者の手を煩わせるなど大きな労力がかかっていました。でも、今は葬儀会社にお金を払えば、全てやってもらえます。さらに、宗教を問わず入れる公営や民営の墓地が増えて、お墓や寺院との付き合いで子供が悩むことは少なくなりました」

 一方、二村さんが最近とくに懸念することがある。お金や不動産などのほかに子供が相続する、仏壇や墓石などの「祭祀(さいし)財産」の継承だ。核家族化と平均寿命の伸長で人の死と向き合う機会が失われ、祭祀に関する経験や知識を得るきっかけがなくなり、イザというときに戸惑う人が増えているのだ。

 「遺産相続の際に、祭祀のことで揉めるケースが少なくないのが実態です」と二村さんは指摘する。では、具体的にどのようなトラブルがあって、どう対応したらいいのか。二村さんと一緒に、相続や遺言書作成に詳しい税理士の水品靖芳先生にも助言してもらおう。