C-130、初飛行から70周年 離陸距離わずか260m

AI要約

1954年8月23日に、試作機YC-130Aの2号機が初飛行し、C-130「ハーキュリーズ」の誕生が始まった。

C-130は未整備の滑走路にも着陸できる中型輸送機として開発され、空軍の性能要件を満たすためにロッキード社がコンペで勝利した。

現在、世界22カ国で運用されるC-130Jは、70周年を迎えるハーキュリーズの進化形であり、多くの国が採用している。

C-130、初飛行から70周年 離陸距離わずか260m

 ロッキード・マーチンは現地時間8月23日、戦術輸送機C-130「ハーキュリーズ」が初飛行から70周年を迎えたと発表した。

 1954年8月23日に、試作機YC-130Aの2号機(53-3397)がロッキード(当時はロッキード・エアクラフト)のカリフォルニア州バーバンク工場から同州のエドワーズ空軍基地へ61分間の初飛行に成功。最初の離陸距離はわずか855フィート(約260メートル)だった。その後、地上での静的試験に用いられていたYC-130Aの初号機(53-3396)も、1955年1月21日に初飛行している。

 C-130の構想は、朝鮮戦争勃発から1週間後の1950年6月に、未整備の滑走路にも着陸できる中型輸送機の必要性を、ある米空軍大佐が訴えたことに始まる。ロッキードによると、空軍は1951年2月2日に、ボーイング、ダグラス、フェアチャイルド、ロッキードの4社に対し、新型輸送機が必要とする6項目の性能要件を提示し、ロッキードがコンペで勝利した。

 1)戦闘半径1100海里の任務で歩兵92人または空挺部隊員64人を輸送するか、3万ポンドの貨物を960マイル以上輸送できる。

 2)粘土、砂、腐植土でできた未整備の短い滑走路から運用できる。

 3)パラシュート降下時には125ノットまで減速し、強襲着陸時にはさらに減速できる。 4)飛行中に運用可能な後部ランプを備えて大型物資を投下でき、パラシュート降下用側面ドアがある。

 5) ブルドーザー、大砲、トラックなどのかさばる重装備を扱える。

 6) 片方のエンジンが故障した状態でも飛行できる。

 1951年7月2日に、2機の試作機YC-130の製造契約を締結。試作機の成功で量産契約が結ばれたが、バーバンク工場はすでに生産能力の限界に達しており、C-130プログラム全体がジョージア州マリエッタのロッキード・ジョージア(当時)に移管された。

 最初の量産型C-130Aは、試作機とほぼ同じ仕様で、1955年4月7日にマリエッタで初飛行。C-130Aのターボプロップエンジンは、アリソンT56-A-1Aが採用された。C-130Aは1956年12月に就役し、フェアチャイルドC-119「フライング・ボックスカー」に代わる戦術航空軍団の任務に就いた。

 最新型は1996年4月5日に初飛行したC-130J。今年6月には、通算2700機目となる空中給油機KC-130J「タンカー」を米海兵隊へ納入したと発表。KC-130JはC-130Jの空中給油型で、ヘリコプターをはじめF-35B/C「ライトニングII」など複数の固定翼機にも給油できる。C-130Jは世界22カ国で運用されており、従来型も合わせると、日本を含む70カ国がハーキュリーズを採用した。