登録者数2200万人の「スキマバイト」 確定申告が必要なケースもあるので注意

AI要約

スキマバイト(スポットワーク)が人気の理由と、確定申告の必要性について解説。

得たお金の形式によって確定申告の必要性が異なり、支払い日も注意が必要。

専門家の見解を交えながら、スキマバイト利用者に向けた確定申告のポイントを紹介。

登録者数2200万人の「スキマバイト」 確定申告が必要なケースもあるので注意

副業OKの会社員や子育て中の主婦(主夫)、ちょっとした時間を活用したいフリーランスなどに「スキマバイト(スポットワーク)」が人気だ。

スキマバイトとは、履歴書や面接不要で、都合のいい時間に好きなだけ働くことができるというもの。利用者はスキマバイトが探せるアプリに登録すれば、条件が合う求人に応募し、勤務することができる。

アプリ業者などが加盟する一般社団法人「スポットワーク協会」によると、スポットワーク登録会員数は2024年5月末時点で実に2200万人にのぼるという。

時間に縛られずにお金を稼げる気軽さからスキマバイトの利用が広がっているようだが、得たお金について確定申告は必要なのだろうか。小林拓未税理士に聞いた。

●「給与」or「業務委託」?もらったお金の形式を確認しよう

ーースキマバイトで得たお金は確定申告の必要があるのでしょうか?

「スキマバイトで得たお金については、『給与』の形式で支払われる場合と、『業務委託』の形式で支払われる場合があります。

確定申告の必要性については、会社員、個人事業主、専業主婦(主夫)、学生の場合で、それぞれ下記の通りとなります。なお、スキマバイトは1か所のみ、給与か業務委託のいずれかとします。

<確定申告が必要なケース:スキマバイトの報酬が「給与」形式の場合>

・会社員…スキマバイトの給与が年間20万円を超える

・個人事業主…事業所得が20万円を超える(ただし、青色申告を行っている場合は、所得の多寡にかかわらず確定申告が必要)

・専業主婦(主夫)…年間の給与収入の合計額が103万円を超える

・学生…年間の給与収入の合計額が103万円を超える(勤労学生控除が適用できれば給与収入130万円まで確定申告不要)

<確定申告が必要なケース:スキマバイトの報酬が「業務委託」形式の場合>

・会社員…スキマバイトの所得(収入ー経費)が年間20万円を超える

・個人事業主…スキマバイトの所得(収入ー経費)と事業所得を合算して、48万円を超える(ただし、青色申告を行っている場合は、所得の多寡にかかわらず確定申告が必要)

・専業主婦(主夫)…スキマバイトの所得(収入ー経費)が48万円を超える

・学生…スキマバイトの所得(収入ー経費)が48万円を超える(勤労学生控除が適用できれば所得75万円まで確定申告不要)」

●「前払い」でも、「規定の支給日に支払いを受けた」ことになる

ーースキマバイトの中には、「給与前払いサービス」の利用により、従業員が就労先の企業の給料支給日を待たずに、収入を得ることが可能となっています。

たとえば、12月に「20日締め、翌月25日払いの企業」でスキマバイトをし、前払いサービスを利用して12月中に給与の振込があった場合、その給与は12月分の所得となるのでしょうか? それとも、翌年1月分の所得となるのでしょうか? 

「給与については、一般的に支給日が定められていますので、支給日の所得となります。仮に前払いサービスを利用しても、支給日に支払いを受けたものとして扱います。

年をまたいだ場合も考え方は同じで、例えば12月20日締め、翌年1月25日払いの給与を、12月に前払いしてもらった場合も、翌年1月末の所得となります」

つまり、12月に前払いされた給与は、その年の所得には含まれないので、確定申告の際には注意しよう。

なお、専業主婦(主夫)や学生の収入が、扶養の範囲内に収まるかの判断についても、同様に「その年に実際に受け取った給与」ではなく、「その年の規定支給日に支払われる給与」が基準となる。確定申告の有無に加え、扶養控除の観点からも覚えておきたいポイントだ。

【取材協力税理士】

小林 拓未(こばやし たくみ)税理士

2017年東京都中央区にて開業。「専門家として、長期的な視点で顧問先の発展に尽力する」ことを経営理念に掲げる。2018年から社会保険労務士業務開始。横浜支店と葛飾支店、津田沼支店を開設し、業務拡大中。

事務所名 :税理士法人石川小林

事務所URL:https://www.ktaxac.com