1ドル=200円って本気?米国の「景気回復」が日本にもたらす「悪夢の物価高」ふたたび

AI要約

世界経済が不安定な状況で、中東情勢や中国経済の低迷などが引き続き懸念されている。

新政権発足による景気対策から米国経済が持ち直す可能性があるが、それに伴い円安が進む見通し。

最悪のシナリオでは1ドル=200円の円安が現実となり、日本経済は深刻なスタグフレーションに直面する可能性がある。

1ドル=200円って本気?米国の「景気回復」が日本にもたらす「悪夢の物価高」ふたたび

<トランプでもハリスでも日本はヤバい!?日経平均が再び大暴落の危機に直面する「イヤだけど納得の理由」>から続きます。

さらに、イランとイスラエルの緊張が高まるなど、中東情勢のきな臭さは解決の見通しが立たず、これも世界経済に暗い影を落としている。

「仮に第5次中東戦争が始まれば、為替に大きな影響があります。これまでは『有事の円買い』と言われ、戦争などが起こると円高になるのが通例でした。しかし今後は一時的に円高に振れたとしても、世界のマネーの多くはドルに向かうでしょう。

『有事のドル買い』で、むしろ円はさらに安くなる可能性がある。1ドル=150円を越えて、160円台、170円台の円安に進むことも念頭に置いたほうがいい」(法政大学教授の小黒一正氏)

世界経済の懸念材料はまだある。それが中国経済の先の見えない低迷だ。前出の倉都氏が言う。

「EVや太陽光パネルなどの生産は伸びているため、数字としては実態が見えにくいのですが、不動産バブル崩壊に伴って個人消費が相当減速している可能性が高い。いずれ隠しきれなくなれば、世界の金融市場を動揺させる危険性は大きい」

世界的に不透明感が漂うなか、来年1月に米国で新政権が発足すれば、少しは先行きが見通せるようになると、前出の小黒氏が指摘する。

「トランプ氏にせよ、ハリス氏にせよ、新政権の発足で、米国で大規模な景気対策が行われるでしょうし、米国経済が持ち直す可能性が高い。

ただし、日本にとっては再び円安に苦しむ局面が戻ってくるといえます。米景気が持ち直せば、ドル高は再燃する。そうなれば円安がもう一段進むことになります」

いったいいくらまで円安になるのか。長期的には1ドル=200円というおそろしい水準を予想するのが、経済ジャーナリストの磯山友幸氏だ。

「今回日銀が利上げに踏み切って大暴落を引き起こした結果、日本はこれ以上、利上げするという選択肢を失いました。岸田政権はこれまでガソリン代や電気代の補助など巨額のバラマキを行ってきましたが、財政が悪化し、国債の利払いが増えるため、金利を上げられなくなっています。さらに金利を上げると円高になり、日経平均株価が下がるので、金融資産を持っている自民党の支持者が離れていく。自民党は現状では円安を容認するしかなく、今後も円安は進んでいくでしょう。

米国の景気が回復していく来年には、再び1ドル=160円、やがて1ドル=200円の水準を目指していくことになると思います。その時、株価は多少回復するでしょうが、せいぜい日経平均株価で4万円くらい。しかし、庶民は輸入物価の高騰に苦しみ、日本経済は深刻なスタグフレーションに直面することになるでしょう」

今回の日経平均大暴落は、経済危機の序章にすぎない。世界、そして日本経済を襲う混乱はまだまだ続きそうだ。

「週刊現代」2024年8月24・31日合併号より