「タワマン」が超危険…「南海トラフ巨大地震」で最大6メートル揺れる「想像を超える恐怖」

AI要約

大都市では超高層ビルや新築マンションが林立し、地震時には揺れが大きくなる可能性がある。

長周期地震動は高層建物にとって特に危険であり、共振によって揺れが大きくなるため注意が必要だ。

過去の震災では高層ビルや庁舎も大きな揺れを経験し、長周期地震動に備えた対策が行われている。

「タワマン」が超危険…「南海トラフ巨大地震」で最大6メートル揺れる「想像を超える恐怖」

2011年3月11日、戦後最大の自然災害となる東日本大震災が発生した。あれから13年、令和6年能登半島地震をはじめ何度も震災が起きている。さらには先日、南海トラフ「巨大地震注意」が発表され、大災害への危機感が増している。

もはや誰もが大地震から逃れられない時代、11刷ベストセラーの話題書『首都防衛』では、知らなかったでは絶対にすまされない「最悪の被害想定」が描かれ、また、防災に必要なデータ・対策が1冊にまとまっている。

(※本記事は宮地美陽子『首都防衛』から抜粋・編集したものです)

大都市には超高層ビルやタワマンが林立し、今や成熟国家の象徴のような存在感を放っている。

新築マンションの価格上昇は止まらず、不動産経済研究所が発表した2023年3月の首都圏新築分譲マンション市場動向によれば平均価格は1億4360万円で、統計開始の1973年以来初めて1億円を超え、前年の同じ月の2倍以上に上昇した。

ただ、高層の建物は、高い階ほど地震発生時の揺れが大きいという。はたして「高嶺の花」となったタワマンは大丈夫なのか。

超高層ビルやタワマンが最も苦手とするのが「長周期地震動」だ。

「周期」とは揺れが1往復するのにかかる時間で、大地震の発生時は長く、ゆっくりとした大きな揺れである「長周期地震動」が発生する。

高確率で発生すると予想されるM8~9級の南海トラフ巨大地震が起きれば、その激しい揺れが住民らを襲うことになる。

長周期地震動は、たとえ震源から離れていても高層の建物を大きく、そして長く揺らす。

建物の揺れやすい周期(固有周期)と地震波の周期が一致すると共振して揺れが大きくなるわけだが、高層の建物は共振によって低い建物よりも長い時間にわたって揺れるため注意が必要なのだ。

2011年3月の東日本大震災発生時、東西の大都市のランドマークにもなっていた都庁舎、大阪府庁舎が大きな揺れに見舞われた。

震源から約400キロ離れた東京都心部は震度5強を記録。東京・新宿にある地上48階、高さ243メートルの都庁第一本庁舎と第二本庁舎(地上34階、高さ163メートル)は地震動でゆっくりと揺れ、エレベーターは全基停止し、天井材の落下やスプリンクラーの損傷などが見られた。

最上階では10分間以上、最大で1.3メートルの揺れが起きた。2012年から二つの本庁舎、都議会議事堂は執務をしながら13年間という長期の大改修プロジェクトが、約762億円(長周期地震動対策の制振装置の設置費用約40億円)をかけて2023年現在も行われている。

都心の複数の高層ビルも設備の転倒や損傷が生じている。約770キロ離れた大阪では震度3の揺れが生じた。湾岸の人工島にある咲洲庁舎(高さ256メートル)では2.7メートルの横揺れが生じ、天井や壁など約360ヵ所が損傷。耐震性を懸念した当時の橋下徹大阪府知事は咲洲庁舎への府本庁舎の全面移転構想を断念した。

この揺れを上回ることになるとみられているのが、南海トラフ巨大地震による長周期地震動だ。

内閣府の検討会による推計では、東京、名古屋、大阪の3大都市圏では南海トラフ巨大地震発生時の超高層ビルの揺れ幅は東京23区や名古屋で最大約3メートルと東日本大震災発生時の2倍近くに達し、震源からの距離が近い大阪の一部は最大約6メートルと指摘された。

つづく「『まさか死んでないよな…』ある日突然、日本人を襲う大災害『最悪のシミュレーション』」では、日本でかなりの確率で起こり得る「恐怖の大連動」の全容を具体的なケース・シミュレーションで描き出している。