爆音マフラーの愛用者は「サイコパス」だった? カナダの心理学研究で判明、騒音規制の未来で今後どうするのか
研究者が爆音マフラーを好む人々の心理を調査し、ナルシシズムなどの人格特性との関連性を分析した結果、驚くべき結論が導かれた。
ナルシシズムやダークテトラッドといった特定の人格特性を持つ人ほど、爆音マフラーを好む傾向があることが示された。
自分を主張したい、注目を浴びたいという欲求からくる行動であることが理解され、一部の人々の行動がより明確に読み解かれた。
暴走族の全盛期を知っている世代のなかには、爆音を響かせるマフラーのクルマやバイクに懐かしさを感じる人もいるかもしれない。
現代でもそういった車両を見かけることがある。では、彼らはどのような動機でマフラーを交換し、自分好みに改造した車両を走らせているのだろうか。
愛車をカスタムしたりペイントしたりして、自分だけの1台に仕上げる気持ちは理解できる。しかし、暴走族でもないのに、わざわざ人を不快にさせる
「爆音マフラー」
に交換して走る人々の思考様式は、多くの人にとって“謎”に感じられるだろう。
この謎に対して、2023年4月に「Current Issues in Personality Psychology」で発表された心理学的アプローチによる研究があり、非常に興味深い内容となっている。
カナダのウエスタンオンタリオ大学で心理学と経営組織学の教授を務めるジュリー・エイトキン・シャーマー氏は、キャンパス近くで犬の散歩をしている際、何度か爆音マフラーのごう音に遭遇した。そのたびに、
「なぜ一部の人々が自発的に騒音を発するのか」
という疑問を抱き、これをテーマに独自の研究を始めた。
シャーマー氏は最初、騒音を好む人々は自己を大きく見せ、注目を浴びたい
「ナルシシスト」
ではないかと考えた。そこで、大学のビジネス学部の学生529人(男性289人、女性234人、その他6人)を対象に調査を行った。質問内容は
・自分のクルマを自分の分身と見なすか
・うるさいクルマが“かっこいい”と思うか
・マフラーを改造して排気音を大きくしたいか
である。さらに参加者には、
・ナルシシズム
・マキャベリズム
・サイコパシー
・サディズム
という四つの人格特性、通称「ダークテトラッド(Dark Tetrad)」を測定するテストも受けてもらった。
ナルシシズムとは、自己誇大性、権利意識、優位性の認識、他者への優越感、独自性の感覚などを特徴としており、自己の利益を重視する傾向がある。
マキャベリズムとは、過度に操作的で抜け目なく打算的に行動したり思考したりし、ずる賢く“腹黒い”傾向がある。
サイコパシーとは、衝動的でスリルを求める行動に出る傾向が高く、他者に対する共感性のレベルが低い。
サディズムとは、他者が傷ついたり苦しんだりしている姿を見ることを好み、場合によっては自分が加害者になり得る性向である。