「フォントが前のと違う」やり直し命じる上司の末路…和田秀樹「全教科底上げ目指す完璧主義に東大合格はムリ」

AI要約
完璧主義タイプのマネジャーは部下に過度な要求をし、チームの生産性を下げる可能性がある。部下は合格ラインギリギリの仕事をすることで上司の要求を和らげる方法を考えるべき。適性に合った分野に特化することが成功への道である。

■【グループ 仕事の足を引っ張る】完璧主義タイプ

 出世した財務官僚の頭のいい働き方

 几帳面で職人肌、完璧主義……こうしたタイプのビジネスパーソンの評判は、案外悪くないものです。仕事では細かいところまで手を抜かずにしっかりと仕上げるので、アウトプットの質がよく、仕事相手の満足度が高いからです。

 ところが、マネジャーになると評判を落としてしまうケースが少なくありません。なぜなら、仕事に厳しく、自分の仕事と同じ完成度を部下にも求めるので、部下がオーバーワークになってしまい、不平不満が溜まっていくからです。社内のほかのチームが帰宅したのに、完璧主義タイプのチームだけは全員が残業しているといった光景も珍しくありません。

 働き方改革が叫ばれ、生産性が重視される現在、完璧主義のマネジャーは企業にとってもお荷物になるリスクが高いでしょう。チームが費やす時間に対して、仕事の質や量をいかにして引き上げるか。コストパフォーマンスの追求は、管理職にとっても重要なミッションです。場合によっては省いてもいい業務を決めるといったことも、当然しなければなりません。にもかかわらず、1から100まですべてを求める完璧主義タイプは、「仕事の要領が悪い」とも言えるでしょう。

 もし完璧主義タイプの上司に仕える羽目になったら、部下はどうしたらいいのでしょうか。

 私だったら、「合格ラインギリギリのレベルまでしか仕事をしない」という道を選びます。いつしか上司も諦めて、仕事を回さなくなるでしょう。ただし、「どうして君の仕事は、いつもいい加減なんだ」「いつまでたっても、成長しないじゃないか」といった上司の叱責を甘んじて受け入れる我慢強さと、「申し訳ありません! これが私の限界です」と平謝りし続ける図々しさが必要です。勤務評定も最低レベルを覚悟しなければなりません。

 それでも仕事の手抜きをするのは、なぜ得策といえるのでしょうか。答えは簡単で、完璧主義の上司は、「出世しない」からです。経営層は、そうした上司の生産性の低さや評判の悪さをしっかりと把握しているはず。完璧主義にこだわっているのが仇になり、仕事で自分の首を絞めてしまう可能性も大きいでしょう。つまり、完璧主義の上司に頑張ってついていっても、いいことがない。

 私の知り合いのある財務官僚は、出世しそうな上司の下では、一生懸命仕事をしてアピールし、出世しそうもない上司の下では、徹底してサボタージュしていました。結果はどうなったか。財務省のトップクラスに気に入られ、彼自身もかなり出世しました。

 営業、総務といった具合に、ジョブローテーションをしている間、自分の適性を見極め、「合っている仕事」だけに力を入れるのも手です。

 意外かもしれませんが、全教科を底上げしようとする受験生は、東大には受かりません。東大合格者のうち「要領のよさ」を用いて、得意科目を集中して伸ばし、不得意科目は必要最低限しか勉強しないタイプがその後成功するものです。まさに好きこそものの上手なれ。仕事も同じです。自分に適した分野だけにこだわれば、生産性は上げやすい。会社の上層部に仕事ぶりを認めてもらうことにも繋がるでしょう。(和田)

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ギリギリ合格ラインの仕事で十分。なぜなら……

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