304馬力の“かっ飛びカローラ”! 進化版「GRカローラ」世界初公開 新開発の8速AT採用で走りはどう変わる?

AI要約

トヨタGAZOOレーシングは2024年8月1日、進化したGRカローラを米国で初披露。

GRカローラは豊田章男会長の強い想いから生まれ、旋回性能や加速性能、冷却性能、空力性能、減速性能、クルマとの一体感を進化。

今回の改良で、リバウンド側スプリングや新開発の8速ATを採用し、安全性や操作感も向上。

最高出力は変わらず224kWで、エンジントルクは30Nm増加して400Nmに。空気力学的な改善やABS改良など、細部まで見直されている。

北米仕様が発表されたが、日本仕様も進化が期待される。

クルマファンには見逃せない性能向上と、豊富な改善内容が取り入れられている。

304馬力の“かっ飛びカローラ”!  進化版「GRカローラ」世界初公開 新開発の8速AT採用で走りはどう変わる?

 トヨタGAZOOレーシング(以下、TGR)は2024年8月1日(米国現地時間)、進化した「GRカローラ」を米国カリフォルニア州で世界初披露しました。

 GRカローラは、「カローラのスポーツカーとしてのDNAを呼び覚まし、お客様を虜にするカローラを取り戻したい」というモリゾウこと豊田章男会長の強い想いのもと、生み出されたモデルです。

 初代は2022年に発表され、さまざまなモータースポーツ参戦を継続し、2023年にはそのフィードバックを生かした改良モデルが発表されました。

 今回の主な改良内容としては、さらなる野性味を追求したものとしています。

 まず、旋回性能を進化させるため、前後ショックアブソーバーにリバウンド側で作動するスプリングを内蔵し、旋回時の車両姿勢と内輪の接地荷重特性を改善することで旋回中の車両安定性を向上しました。

 リアアクスルの回転中心であるトレーリングアーム取付点を上げることで加速時のリアの沈み込みを低減しました。アクセル操作に対する車両姿勢変化を抑えることで、駆動力の応答性を向上させるとともに安定した姿勢でのコーナリングを実現します。

 リアのコイルスプリングとスタビライザーのばね特性を見直し、それぞれのロール剛性の分担率を最適化することで、旋回時のリアタイヤの接地性を向上させ、車両コントロール性を高めました。

 次に、加速性能を進化させるため、スポーツ走行でのエンジン使用領域を分析し、コーナーでの立ち上がり加速に重要な中速域でのエンジントルクを現行型に対して30Nm増加させ、最大トルクを400Nmまで高めました。最高出力は224kW(304馬力)で変わっていません。

 進化型GRヤリスにも採用した、世界トップレベルの変速スピードを目指した新開発8速ATのGR-DATも搭載しました。

 従来は減速度や車両速度などの車両状態に基づき変速させていたところを、よりドライバーの意図を反映するために、ブレーキの踏み込み方・抜き方、アクセル操作まで細かくモニタリングすることで、運転状況を先読みし、プロドライバーによるシフト操作と同じようなタイミングでのギヤ選択を実現しています。

 シフト操作に気を取られず、ステアリング、アクセル、ブレーキの運転操作に集中できることにより、スポーツ走行の楽しさが広がります。

 また、冷却性能を進化させるため、GR-DAT搭載車には水冷式ATFウォーマー&クーラーに加え、空冷式ATFクーラーを標準装備しました。エンジン冷却を強化するためにサブラジエターも設定しています。

 空冷式ATFクーラー前のロアグリルに冷却用の開口を設定したり、より安定した制動力を確保するブレーキダクトも採用しています。

 さらに、空力性能を進化させるため、バンパーコーナー部へ安定的に小さな乱気流を発生させる小さな段差を設定し、バンパーコーナー部からの空気の剥離を抑制します。冷却性能強化のため必要な各機構を追加しつつ、操縦安定性を確保しました。

 空気をスムーズに排出するサイドダクトも設定しました。ATFクーラーから排出された空気がサイドの空気の流れを乱すことなく後方へ流れるよう計算された突起形状を採用しました。

 減速性能を進化させるため、限界領域でも安全安心で懐の深いクルマに近づけるためABSを改良しました。上下Gセンサーにより、ABS作動輪の接地荷重をモニタリングすることでABS作動時の安定した制動力を実現しました。

 そしてクルマとの一体感を進化させるため、ステアリングコラムとインストルメントパネルリインフォースメントの締結部に締結剛性の高い溝付ワッシャーボルトを採用して、直進安定性とステアリング操作に対するダイレクト感を向上させました。

 シャシ部品の締結ボルトの一部に締結剛性の高い特別なボルトを採用しました。ロアアームとロアボールジョイントの締結部はステアリング操作に対する応答性を、リアショックアブソーバーとボディの締結部はステアリング操作に対するリアのグリップ感を向上させました。

 クラッチシステムのトータルレバー比やクラッチカバー、ターンオーバースプリングの荷重特性を最適化することで、クラッチペダルの操作性を向上しました。ピーク踏力を高めに設定し、踏みごたえのあるペダル操作フィーリングとしたほか、ピーク踏力以降は、ペダルストロークでの踏力を減少させることでペダルの踏み切り感を向上させています。

 さらにスポーティな操作感となるようにクラッチ特性を最適化し、戻し側の荷重増加による足への追従性、半クラッチストロークの短縮による操作性を向上しました。

 なお、今回発表された内容は北米仕様のもので、北米以外への地域への導入は検討中とされています。

 とはいえ、日本仕様もそう遠くない時期に同様に進化させたモデルになると思われます。期待しましょう。