WRC第9戦ラリー・フィンランド、トヨタ17号車セバスチャン・オジエ選手が今季3勝目

AI要約

TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)は、2024年WRC(FIA世界ラリー選手権)第9戦ラリー・フィンランドでセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組が優勝し、オジエ選手が首位を目指す展開となった。

TGR-WRTは他の車両も上位に入賞し、複数のチームドライバーが競技に参加。特にGR YARIS Rally1 HYBRIDが活躍し、トップの座を獲得したオジエ選手が感慨深くコメントした。

豊田章男氏は、オジエ選手の成績とGR YARISの活躍に対するコメントを述べ、チームの様々なドライバーが総合的な成功を収めていることに感謝を表明した。

WRC第9戦ラリー・フィンランド、トヨタ17号車セバスチャン・オジエ選手が今季3勝目

 TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)は8月4日(現地時間)、2024年WRC(FIA世界ラリー選手権)第9戦ラリー・フィンランドで17号車「GR YARIS Rally1 HYBRID」セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組が優勝したと発表した。

 2024年シーズンは、オジエ選手はここまで6戦に出場し優勝3回、総合2位3回という好成績を残しており、今回の勝利によりドライバー選手権では、首位のティエリー・ヌービル選手(ヒョンデ)と27ポイント差の2番手に順位を上げた。

 そのほかTGR-WRTでは、5号車のサミ・パヤリ/エンニ・マルコネン組は総合4位で、18号車の勝田貴元/アーロン・ジョンストン組は総合41位でフィニッシュ。なお、69号車カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組はデイ4SS19でコースオフによりリタイア。33号車エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組も、同ステージでコースオフによりリタイアとなった。

 優勝したオジエ選手は「たとえ望んでいた形ではなかったとしても、やはりフィンランドでの優勝はうれしいものです。チームは素晴らしいクルマを用意してくれて、週末を通して圧倒的な強さを発揮しました。カッレとヨンネは他の選手たちとは別次元の走りを見せていましたが、不運にもコーナリングライン上に転がっていた岩に当たってしまいました。チームの力を考えると、さらによい結果を残せていたはずなので残念でなりません。シーズン前半戦のラリー・イタリア サルディニアで私は運わるく勝利を逃しましたが、今回ここで取り戻した形です。長い間この世界に身を置いてきて、さまざまな結果や感情的なシーンを経験してきました。そして、ほとんどの場合、幸運に恵まれてきましたが、今日に関してはそう思うことができません。2位でフィニッシュしたかったというのが正直な気持ちですが、モータースポーツでは時に不公平なことも起こります」とコメントしている。

■ ラリー・フィンランドの結果

1:セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ)

2:ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ)

3:アドリアン・フォルモー/アレクサンドレ・コリア (フォード)

4:サミ・パヤリ/エンニ・マルコネン (トヨタ)

5:オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (シュコダ)

6:ヤリ-マティ・ラトバラ/ユホ・ハンニネン (トヨタ)

7:ラウリ・ヨーナ/ヤンニ・フッシ (シュコダ)

8:ミッコ・ヘイッキラ/クリスチャン・テモネン (トヨタ)

9:ニコライ・グリアジン/コンスタンティン・アレクサンドロフ (シトロエン)

10:ゲオルグ・リンナマエ/ジェームズ・モルガン (トヨタ)

■ 第9戦 終了時点でのドライバー選手権順位

1:ティエリー・ヌービル/168ポイント

2:セバスチャン・オジエ/141ポイント

3:オィット・タナック/137ポイント

4:エルフィン・エバンス/132ポイント

5:アドリアン・フォルモー/119ポイント

6:カッレ・ロバンペラ/86ポイント

7:勝田貴元/76ポイント

8:エサペッカ・ラッピ/33ポイント

9:アンドレアス・ミケルセン/29ポイント

10:ダニ・ソルド/27ポイント

■ 第9戦 終了時点でのマニュファクチャラー選手権順位

1:Hyundai Shell Mobis World Rally Team/395ポイント

2:TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team/375ポイント

3:M-Sport Ford World Rally Team/207ポイント

■ TGR-WRT会長 豊田章男氏のコメント全文

 オジエ選手の今季3勝に合わせて、TGR-WRT会長 豊田章男氏がコメントを発表した。以下はその全文となる。

 6年前のラリーフィンランドでは「Welcome to my home roads」と書かれた大きなヤリスの看板が街に掲げられていました。ヤリスの里帰りを喜んでくれるメッセージが、とてもうれしかったことを覚えています。当時フィンランドに里帰りしたヤリスはエサペッカ、オィット、ヤリ-マティの3台でした。

 6年後のラリーフィンランド、ユバスキュラに里帰りしたGRヤリスは、なんと全部で14台。トップカテゴリーのRally1に5台、その内の1台は地元フィンランドの若者サミ・パヤリのRally 1デビューです。あとの9台は、ラリーの裾野をもっと拡げたいと願ってフィンランドで開発を重ねてきたRally2。WRCにチャレンジしている日本の若者たちが、その内の2台に乗り、1台はTOYOTA GAZOO Racingの”走るチームプリンシパル”ヤリ-マティです。そして残りの6台はGRヤリスでラリー・フィンランドを走りたいと、このクルマを選んでくださったプライベーターのお客さまたちでした。Rally1からRally2へクルマの裾野が拡がると共に、若者やジェントルマンドライバーへとドライバーの裾野も拡がっていく……。私が頭に描いていた光景を、数年でここまで実現してくれた全ての仲間たちに、まずは深く感謝したいと思います。

 そして……今年のラリー・フィンランド。セブ、ヴァンサン優勝おめでとう! 今シーズン、2人がラリーに出てくれた週末は、必ず優勝か2位で帰ってきてくれています。2人の安定感にチームは本当に支えられています。ありがとう。カッレとヨンネは、あれだけたくさんの勝利を重ねているのに実現できていないことがありました。“母国のファンの前で勝つ”ことです。2人とも「今年こそ」という強い気持ちでラリー・フィンランドに臨んでいたと思います。最終日までトップを守っていたのに本当に悔しいリタイアでした。サミとエンニは初のトップカテゴリーで4位完走。多くのドライバーがフィンランドの道に苦労していた中で、すごい結果だと思います。

 ヤリ-マティは今年もドライバーとして出てくれました。昨年はRally1、今年はRally2での出場です。実際にどんなクルマでドライバーたちが走っているかを現場確認するのも、TOYOTA GAZOO Racingでは“チーム代表の大切な仕事”です。……とは言いながら、SNSで見るヤリ-マティとユホは本当に楽しそうでした。楽しみながら、クラス2位で帰ってくる2人は流石です。GRヤリスのRally1とRally2、それぞれでWRCの道を走った経験を持つドライバーは、ヤリ-マティとサミの2人しかいません。私は、まだサミには会えていませんが、今度会えたら、Rally1、Rally2それぞれについて、ヤリ-マティも交えながら、いろいろ教えてもらいたいと思っています。

 最後に、今回、プリンシパル代行を引き受けてくれたカイ。ヤリ-マティに代わって、朝早くから夜遅くまでチームメンバーに声を掛けてまわっていたと聞きました。スポーティングディレクターとの兼務おつかれさまでした。たくさんのGRヤリスに囲まれ、表彰台にも乗れて、思い出に残るバースデーウィークになったと思います。誕生日おめでとう!

 次のラリーは1か月後。夏休みも少なく、チームのみんなはハードだと思います。今回もマニュファクチャラーズランキングトップ奪還は叶いませんでしたが、残り4戦、チャンピオン獲得に向けて、引き続き、努力を重ねていきましょう。