組み立て式「合わせホイール」分解前には迷わずマーキングを入れよう

AI要約

合わせホイールにおけるタイヤ交換やチューブ交換の手順について解説。

マーキングやチューブの取り扱い、サビ対策などの注意点も紹介。

チューブの組み込み作業やリムの補修方法に関するノウハウを紹介。

組み立て式「合わせホイール」分解前には迷わずマーキングを入れよう

モンキーやダックスなど、8インチや10インチサイズのホイールモデルに数多く採用されているのが、通称「合わせホイール」と呼ばれる、組み立て式のホイールだ。一般的なスポークホイールのタイヤ交換やチューブ交換、パンク修理と比べれば、比較的容易に作業進行できるのが、合わせホイールの特徴でもある。ここでは、そんな合わせホイールにおけるタイヤ交換やチューブ交換にチャレンジしてみよう。

文/Webikeプラス たぐちかつみ

現代の小型バイク、原付クラスのバイクを見ても、左右2枚のリムを組み合わせてボルトで締結する、通称「合わせホイール」を採用したモデルは皆無に近い。10インチ時代の旧ダックスホンダや8インチ時代の旧モンキーにゴリラ、ヤマハにはLB50チャピィやボビィ、カワサキにもスズキにも合わせホイールモデルがあったが、原付スクーターの台頭とともにチューブレスホイール化が当たり前になり、それと同時に合わせホイールも姿を消していった。原付だから大丈夫だろう!?と過信し、カチカチになったタイヤのまま走っているモンキーやダックスを見掛ける機会も多いので、ここでは、合わせホイールのタイヤ交換と同時に、チューブ交換を実践した。ここで新規購入した場品は、リム幅と外径サイズに合致したタイヤとチューブ、前後1台分だ。

分解前のマーキングは、意外にも重要な作業なので、実践しておくのが良いだろう。後々の組み立て時に迷ってしまうことも無くなる。マジックインキで記しても、組み立て直後にパーツクリーナーをウエスに染み込ませてマーキングの上をササッと拭き取ることで、簡単に除去することができる。タイヤによって有無はあるが、新規装着タイヤのウォール部分には回転方向の矢印が記されていたので、その方向通りに、リムに記したマーキングに合わせてホイールを組み立てた。

新品チューブを組み込む際には、梱包されたビニール袋から取り出し、そのまま組み込んでしまうのはやめよう。特に、通常のスポークホイールの場合は、タイヤを組み込む際に、チューブにクセがついたままだと、チューブをタイヤレバーで挟んで、新品チューブをパンクさせてしまうことがあるので特に要注意だ。エアーを少し入れてチューブがドーナツ状になったら、シリコンスプレーを吹き付けたウエスで、チューブ全体を満遍なく拭き取り、チューブ表面の滑りを良くすることで、チューブを組み立てやすく失敗は確実に減る。タイヤの中にエアーを抜いたチューブを仮組した状態で、バルブ穴があるリムから組み立て開始しよう。もう一対のリムを組み込む際には、リムの合わせ部分(密着する部分)の外周にシリコン系液状ガスケットを薄く延ばして塗布することで、リムの隙間を伝って雨水がチューブ室内に入り込むことが無くなる。特に、鉄の合わせリムで、サビがすでに発生していたような場合は、サビの除去と同時に、この液状ガスケットの塗布が効果的だ。後々、サビ侵攻から守ってくれる。作業実践中の合わせリムは、カスタムパーツとして販売されているアルミリムを利用しているが、やはりサビに強いのが特徴だ。チューブ室内でのサビの発生が、パンクの原因になることもあるのだ。

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POINT

▶ポイント1・鉄製合わせホイールの多くは内側がサビているので、サビは可能な限りワイヤーブラシで除去しよう 

▶ポイント2・ 特に「かさぶた」のようになったサビは、徹底的に除去しないとタイヤパンクの原因になるので要注意

▶ポイント3・分解前のリムサイドには、マジックペンで回転方向を記して、復元時には逆組しないように要注意 

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1990年代以降に発売されたモデルでは、原付クラスでもチューブレスタイヤが当たり前になっている。その一方で、それ以前の旧車には、まだまだタイヤチューブが数多く採用されている。昨今の旧車ムーブメントの影響もあり、チューブタイヤに「初めて触れた」

といった、オーナーさんも増えているようだ。ここでは、そのチューブにまつわる様々なノウハウをリポートしよう。

タイヤチューブを購入する時には、ホイール外径のみではなく、タイヤの太さにも気を配って購入しよう。タイヤの幅表記には、旧式の太さ表記と現代的な表記があるので、覚えておくとよいだろう。例えば、旧式の場合は、3.00‐18とか3.50‐18などの表記に対して、同じようなタイヤサイズでも現代的表記では80/90‐18とか90/90‐18となる。タイヤメーカーのカタログやWebを見ると、そのような数値表記の対照表が出ているので、迷った時には確認することをお勧めしたい。ここで組み込んだ8インチの合わせホイールには、4.00-8サイズのタイヤと同サイズのタイヤチューブを組み込んだが、1980年代初頭以前に登場したモデルは旧式表記なのと、後にこのサイズのタイヤを採用したモデルが無かったので、新規表記が併記されていないが、ユーザーが多いタイヤサイズの場合は、数値が併記されて販売されている例が多い。

新品チューブをパッケージから出したら、まずはエアーを入れて、チューブがドーナツ状になるまで膨らませよう。この作業段取りは重要で、チューブを膨らませることで梱包時の折りたたみクセを除去するのだ。パンパンになるまで膨らませる必要は無い。あくまでリング状、ドーナツ状になる程度までエアーを入れ、その状態でシリコンスプレーを吹き付けたウエスでチューブ表面を磨き拭きし、チューブの滑りを良くしよう。こうすることで、組み込みの際に、リムとタイヤレバーの間にチューブを挟むことが減り、チューブにキズを付けてしまう(パンクさせてしまう)ことが減るのだ。それでも注意深く作業進行しなくてはいけないのが、タイヤチューブの組み立て作業だ。

合わせホイールの場合は、左右一対で締め付けるリムの平面内側を伝って、雨水がチューブ室に入り込んでしまうことがある。鉄リムの場合は、その雨水が原因でリムの内側にサビが発生してしまうため、分解作業時にサビに気が付いたら、ワイヤーブラシやサンドペーパーで可能な限り除去し、サビ止めでペイントを施しておくのが良いだろう。また、左右一対に締め付け復元する時には、左右が密着する外周部分に液状ガスケットを薄く塗布しておくことで雨水の侵入が無くなるノウハウもあるので試してみよう。