新社長は元キックボクサー 「気象気候の世界チャンプに」ウェザーニューズ・石橋知博さん

AI要約

ウェザーニューズの新社長である石橋知博さんがプロのキックボクサーだった過去を持ち、今後の展望を語っている。

石橋さんは大学時代に格闘技に興味を持ち、フライ級でキックボクシングのジムに入ることからプロ選手の道を歩む。

働きながら試合を重ね、日本タイトルマッチで勝利した後には社長業への転身を決意した。

新社長は元キックボクサー 「気象気候の世界チャンプに」ウェザーニューズ・石橋知博さん

民間気象予報会社の先駆けとして知られるウェザーニューズで6月、創業者を父に持つ石橋知博さん(49)が3代目社長に就任した。中央大理工学部から外資系企業を経て、同社に入社したのは平成12年10月。実はその数カ月前、石橋さんはプロのキックボクサーとして後楽園ホール(東京都文京区)のリングに立っていた。その後の生き方を変えることになる日本タイトルを賭けた一戦を振り返りつつ、今後の社長業での展望を明かしてもらった。

現役時代は112ポンド(50・80キロ)以下のフライ級で戦ったといい、待ち合わせの時間に現れた石橋さんはもうすぐ50代に足を踏み入れるとは思えないスリムさを維持していた。今でもフィットネスジムで体を鍛えているという。

■大学在学中にプロの道へ

格闘技の道を歩み始めたきっかけは、高校2年のとき、たまたま深夜のテレビ放送で見たボクシングの試合だった。「試合は両選手とも鼻血を出しながら疲れ果てていたけれど、戦い終わると2人ともすごくさわやかな表情をしていた。不思議だな、あのリングの上には何かがあるのかもしれない」と思い、翌日ジムの門をたたいたという。

キックボクシングに転向したのは、大学入学後。「下宿近くのボクシングジムが月謝1万円ぐらいだったのに、キックのジムの方は5千円。コスパがいいな、やってみよう」というのが理由だった。

ところが、当時は格闘技イベント「K-1」が大きな注目を集めていたころで、所属したジムも強豪選手ばかり。そうした環境で、高校時代にボクシングで基本を学んでいたこともあってみるみる頭角を現し、在学中にプロデビューを果たす。

平成10年、大学を卒業し、日本ヒューレット・パッカードに入社。最初の1年間はリングを忘れてがむしゃらに働いたが、2年目に入ると「そろそろ試合がしたいな」との思いがわき、復帰。職種は営業だったため、ときには赤くはれた顔で「転びました」などと言い訳しながら、得意先を回ることもあった。

異色の営業マンは社内でも話題となり、試合には同僚や先輩が駆け付けるように。そしておよそ10試合を戦って迎えたのが平成12年5月26日、後楽園ホールでの日本タイトルマッチだった。フライ級国内2位の立場で挑むのは、プロ2戦目で一度敗れている相手。控室を出てリングに向かう前、心の中で「この試合、勝ったらそのまま行くよ。負けたら人生を変える。あとは神様、あなたに任せた」と繰り返したという。