再雇用社員の3分の1は「部署をたらい回し」に…大手食品メーカーで働く63歳が明かす「定年後に嫌われる社員の特徴」

AI要約

再雇用契約後のサラリーマン生活におけるやりづらさや人間関係について、経験豊富な酒井さんが語った内容。

残業制限や役職手当のカットに違和感を感じる一方、年下上司や人間関係には特に困難を感じていない様子。

野心の喪失や責任感の残存、企業戦士としての変化など、再雇用後の気持ちの変化についての説明。

再雇用社員の3分の1は「部署をたらい回し」に…大手食品メーカーで働く63歳が明かす「定年後に嫌われる社員の特徴」

新卒入社した会社で40年間も働き続け、マイホームにマイカー、嫁さんに頭が上がらないなど、企業戦士のロールモデルのような人生を過ごしてきた酒井さん(仮名、以下同)。再雇用契約後の人間関係など、普段の職場ではなかなか聞くことのできない「再雇用戦士の本音」をありのままに語ってもらった。

聞き手:佐藤大輝(33歳・逃げ切れない世代ライター)

――酒井さんの年齢は63歳。新卒入社した大手食品メーカーで40年間以上も働き続け、現在は再雇用契約の3年目。定年前の年収は1000万円ありましたが、定年後は年収350~400万円にまでカットされました。5人家族で、マイホームには奥さんと一番下のお子さんが住んでいます。なお、奥さんとは別居中です。

どこにでもいる普通のサラリーマンの酒井です。本日はよろしくお願いします。

――さっそく質問させていただきますが、再雇用後、働く上で「やりづらさ」などは生まれましたか?

会社から「残業しないで定時に帰ってください」と言われる点はやりづらいですね。役職手当がカットされてから、気軽に残業ができなくなりました。

私たち昭和の企業戦士は、営業手当や役職手当のせいで残業代が出ないのが普通でした。定年前は仕事量も多く、定時に帰れない日が多かった。良くも悪くも「仕事の時間制限」に対して無頓着な部分があるので、この点は再雇用後に違和感があります。

――人間関係はどうですか。例えば、部下だった人が上司になって「やりづらい」とか。

それは大丈夫です。なぜなら、みんなサラリーマンだからです。私たちは建前と本音を切り分け、仕事は仕事だからと割り切ることに長けています。なので年下上司にガミガミ言われる話は、少なくとも私の周りでは聞かないですね。

特に、若くして出世しているような社員は、やっぱり人間力が培われている。組織のカラーや文化をよく理解しているので、波風立てることを好まないのだと思います。

役職定年を迎え、サラリーマンの野心がゼロになったことも、影響しているかもしれません。55歳くらいの時はまだ、鼻息荒く、出世を期待している自分がいました。だけど定年後は責任感こそ残っていますが、出世して給料を上げよう、といった気持ちは完全に消えました。つまり企業戦士として丸くなったんです。

働かせてもらえるだけでも、ありがたいなって。これら複数の要因により、定年後はむしろ「やりやすい」と個人的には思っています。

――定年後の人間関係について過度に怯える心配はない、ということでしょうか?

仰る通りです。これから再雇用契約を控えている方は、長い長いサラリーマンライフの「答え合わせ」ができると前向きに考えてほしいです。