冷暖房ランニングコストが安いのは「平屋より2階建て」…一級建築士が「それだけはやめろ」という家の"方角"は

AI要約

風水の影響でお金が増える家を目指すためには、現代版家相術を取り入れる必要がある。

お金が出ていく家の冷暖房効率を左右する要素は方角であり、北側や西向きの窓は光熱費がかさむ可能性が高い。

光熱費を節約するためには、冬の季節を優先して間取りを考えることが重要であり、日差しをコントロールする方法も有効だ。

■“現代版家相術”でお金が増える家を目指す

 玄関に金色のものを置くとお金が貯まる――。過去に流行した風水の影響で、「金運が上がるもの」を信じている人がいるかもしれません。しかし、そんなことでお金持ちになれるなら、誰も苦労はしませんよね(笑)。

 とはいえ、私は家相や風水を頭から否定するつもりはありません。

 たとえば家相では「裏鬼門(南西)に台所をつくってはいけない」と教えます。南西は家の中で温度が高くなりやすい場所で、食材を置いておくと傷みやすい。このように、理屈の通った教えもあります。

 ただ、それも冷蔵庫のなかった時代の話です。先人たちの知恵も、科学の発達やライフスタイルの変化に合わせて、科学的根拠に基づいた“現代版家相術”へとアップデートする必要があります。

 では、現代の視点でお金が貯まる家とは、どのようなものなのか。一言で言えば、「健康を維持できて光熱費を抑えられる家」です。

 金運を変えることはできませんが、冷暖房効率がよくなる間取りにすれば、そうではない場合と比べて月々の家計が確実に楽になります。また健康であれば医療費を抑えられます。

■お金が出ていく家は冬に弱い

 冷暖房効率を左右する要素は複数ありますが、家選びでまず重視するのは「方角」です。メインで生活する部屋がどちらの方角にあるか、また部屋の窓がどちら向きかで、冷暖房の効きが変わります。

 冬は、日差しが入りにくい北側がもっとも寒く、暖房を強力にかけるぶん光熱費がかさみます。逆に光熱費がもっとも少なくなるのは日差しが入る南側です。そう考えると、メインで生活する部屋は南に置いて、窓を大きく取るといい。

 しかし、夏は逆です。日差しをよく取り込むと、部屋が暑くなりすぎて強い冷房が必要になります。とくに西向きの窓は最悪です。西日は午後の気温がもっとも上がる2~4時頃に差し込みます。部屋がサウナのように加熱され、冷房も効かずに光熱費がかさみます。

 問題は、間取りは固定のものであり、季節によって変えられない点です。光熱費を節約したければ、夏と冬どちらの季節を優先して間取りを考えるべきでしょうか。

 答えは冬です。月々の光熱費を比べると、一般的には夏より冬のほうがより多くの電気を使います。

 また、日差しの取り込みには限界がありますが、逆に遮蔽することは容易です。

 たとえばカーテンやブラインドで日射熱は4割カットできます。さらに効果が高いのは窓の外側に付けるアウターシェードです。バルコニーがある部屋ならヨシズを立てかけてもいい。日差しを窓の外側で遮蔽すれば、日射熱を8割減らすことができます。このように夏の日差しはコントロール可能なので、家の間取りは冬を想定して考えるべきです。