日産が「統合報告書2024」を発行 脱炭素を目指す中長期戦略の現状と展望を発表

AI要約

日産自動車は2024年7月31日、サステイナビリティーを中核に据えたミッションステートメントとビジネスの進捗などを紹介する統合報告書2024を発行。ビジネス戦略はNissan Ambition2030とThe Arcを基盤に展開。

Nissan Ambition2030は、環境問題や社会課題に対応し持続可能な企業を目指し、電動化を加速する取り組みを示す。The Arcは2026年までの販売増と営業利益率目標を掲げ、新型車投入計画を明らかにしている。

統合報告書2024では、長期ビジョンや経営計画の進捗や財務情報を公表。サステイナビリティー方針や具体的な取り組み、NGP2030とNSP2030の目標も明示されている。

日産が「統合報告書2024」を発行 脱炭素を目指す中長期戦略の現状と展望を発表

日産自動車は2024年7月31日、サステイナビリティーを中核に据えたミッションステートメントと、ビジネスの進捗(しんちょく)などを紹介する「統合報告書2024」を発行。報道関係者に同報告書の内容と具体的な取り組みについて説明を行った。

日産は現在、「Nissan Ambition(ニッサン・アンビション)2030」の実現に向け、2024年3月25日に発表した経営計画「The Arc」を基盤としたビジネス戦略を展開している。

ニッサン・アンビション2030は、2021年11月29日に発表された長期ビジョン。「環境問題や社会課題、そして変化するお客さまのニーズに対応し、よりクリーンで安全、誰もが共生できる社会の実現と、真に持続可能な企業となること」を目指し、「今後5年間で約2兆円を投資し、電動化を加速」「2030年度までに電気自動車15車種を含む23車種のワクワクする新型電動車を投入し、グローバルの電動車のモデルミックスを50%以上へ拡大」「全固体電池を2028年度に市場投入」という3つの具体的なミッションステートメントを発表している。

いっぽうのThe Arcは、「2026年度までに、2023年度比で100万台の販売増と、営業利益率6%以上を目指す」という経営計画である。「今後3年間で30車種の新型車を投入し、そのうち16車種を電動車両、14車種をICE車とする」「2024年度から2030年度の間に、計34車種の電動車両を投入してすべてのセグメントをカバー」「グローバルな電動車両のモデルミックスは2026年度に40%、2030年度には60%を見込む」といった内容がアナウンスされている。

今回発行された統合報告書2024は、ニッサン・アンビション2030とThe Arcによる長期ビジョンや経営計画、戦略の進捗に加え、財務情報などを公表するものである。さらに、サステイナビリティーに関する方針や実行計画を通じて、日産が中長期にわたり社会に与える価値の創造などについても説明されている。

サステナビリティーへの取り組みとして、第5世代となる「ニッサン・グリーンプログラム2030(NGP2030)」と「ニッサン・ソーシャルプログラム(NSP2030)」も策定。NGP2030では、2018年比で「車両一台あたりのライフサイクルCO2排出量の30%削減」「製造時のCO2排出量52%削減」に加え、「日本・米国・欧州・中国の4つの主要市場において新車走行時のCO2排出量を50%、グローバルで同32.5%を削減」「4つの主要市場におけるサステイナブル素材比率を40%へ向上させる」という目標がうたわれる。

NSP2030では、安全・品質・責任ある調達・知的財産・地域社会・Power of employeesを6つの柱とし、各分野で2030年に向けた目標設定と行動計画を策定。人を大切にし、すべてのステークホルダーの人権を尊重することを企業活動の基本に据えるという。

「サステイナビリティの取り組み説明会」に臨席した日産のチーフサステナビリティオフィサー田川丈二氏は、「大切なのはさまざまなパートナー企業やステークホルダーと連携し、継続的に進むべき方向性について社内で多様な議論を交わしながら、活動を進化させていくこと。企業を持続可能なものとし、持続可能な社会を築くためには着実な準備が必要です。これは“人々の生活を豊かに。イノベーションをドライブし続ける”という日産のコーポレートパーパスに一致するものです」とコメントしている。

(webCG)