「消臭力を歌うミゲル君」はなぜ好感度1位になったのか…「商品を見せないCM」に振り切ったエステーの戦略

AI要約

CMで話題の「消臭力」の製造・販売に携わったクリエイティブディレクター・マーケターがSNSの重要性と活用法を語る。

SNSを避ける姿勢は時代の流れに逆らい、お客様との接点を持つ上で不可欠であることを説く。

SNSを評論するのではなく、体を使って経験し、楽しむことでクリエイターとしての洞察力を高めることの重要性を指摘。

エステーが製造・販売する「消臭力」のCMは、なぜ話題を呼ぶのか。クリエイティブディレクター・マーケター鹿毛康司さんの書籍『無双の仕事術』(クロスメディア・パブリッシング)より、「消臭力」CM誕生のエピソードをお届けする――(第2回)。

 ※本稿は、鹿毛康司『無双の仕事術』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

■「私はSNSが好きではないので、一切触りません」は間違い

 「私はSNSが好きではないので、一切触りません。デマばかり書かれていて、本当のことは書かれていないし、タチの悪い情報を見るのは時間の無駄ですから」

 そんな意見を口にする人を見かけます。このような意見に惑わされることなく、皆さんにはぜひ、主要なSNSにどんどん触っていただきたいと思います。

 スマホ全盛期になった今、お客様と接点を持つ上でSNSは避けて通れません。自分の好き嫌いとは関係なく、多くの人と接点を持ちたいのであれば、SNSの研究は必要不可欠です。その姿勢がなければ、クリエイターと話ができません。

 いろんなSNSに触ってください。そして、感想を聞かせてくださいとお願いすると、こんな答えが返ってくることもあります。

■X、Instagram、Facebookを使い倒す

 「X(旧Twitter)の多くのつぶやきは、何気ない日常のつぶやきですね。一般的にはフォロワー数が数十人から数百人いて、共通する趣味を持った人同士がつぶやきあっているようです。有名人のフォロワー数は万単位で多い。ただ、フォロワー数が多くなればなるほど、情報が拡散しやすくなるのと同時に、炎上も発生しやすくなるので注意が必要ですね」

 ただ、こういった客観的分析はクリエイティブにはまるで役に立ちません。自転車に一度も乗ったことがない人が、自転車の機能を分析して語っているようなものです。

 SNSを外から眺め、評論するのではなく、中に入ってのめり込んで使っていただきたいのです。自転車は転びながら乗りこなし、思い切り楽しんでください。それができたときにはじめて、「どのような自転車を生み出せば良いのか」をクリエイターと議論できるようになります。

 頭ではなく、体が理解するまで乗りこなす。好き嫌いはちょっと脇によけて、少なくともX、Instagram、Facebookは本能で赴くままに使い倒し、楽しみを味わえるところまで乗りこなしてください。