「水でガンが治る」「数珠で金運が上がる」と勧められたら…あやしい「搾取ビジネス」から「大事なお金」を守る方法
怪しげなビジネスにだまされないためのポイントを解説
搾取ビジネスの見極め方を具体的に説明
矛盾や論理の飛躍に注意しながら情報を吟味する重要性
セミナー、投資、スピリチュアル……。「これを買えば儲かる」「これに参加すれば仕事が増える」などと喧伝する怪しげなビジネスにだまされないためには、どんなことに注意すればよいのだろうか? 著書に『できる社長のお金の守り方』がある行政書士の服部真和氏が、「搾取ビジネス」のカラクリと見抜くポイントを教える。
何らかの知識やノウハウの提供であったり、講座の受講であったりと、いわゆる「即効性の低い」商材の場合は、堅実なビジネスと搾取ビジネスの違いはわかりにくいでしょう。
そこで、ここではその見極め方をお伝えしておきます。それは「再現性」です。
往々にして、搾取前提のビジネスにありがちなのが「論理の飛躍」と「矛盾」です。
・この数珠をつければ金運が上がる
・この水を飲めばガンが治る
・AIの知識をつければ儲かる
・今NFTを買っておけば必ず価値が上がる
・このセミナーを受講すれば年収〇〇〇〇万円
・本を出版すればブランディングされて仕事が増える
ネット広告やセミナーなどで頻繁に目にする言い回しですが、これらには「矛盾」や「論理の飛躍」があります。
つけるだけで金運が上がって成功する数珠があるのなら、その人が買い占めて大儲けすればいいのです。幸せを他者にも分け与えたいのであれば、その人が儲け続けてお金をバラまけば解決します。
ガンが治る水があるなら、年間40万人近くも亡くなっている病院になぜ売りにいかないのでしょうか。最も効果を測定できるのは、日に日に亡くなる方を救うことのはずです。速攻で効果が証明できれば、世界を相手にその事業は大儲けできます。
同時に、搾取ビジネスをする輩の好きな権威性も得られるでしょう。
最近は「AIの知識をつければ儲かる」と言っている人もよく見ます。しかし、彼らをしっかり調べると、たいてい数年前はAIなんて無縁の世界で生きています。
AIの研究は1950年から続いており、ビジネスへの積極的な利活用に絞っても、2010年以降にディープラーニングが台頭し、このころから果敢な経営への導入がなされています。そういう人たちは、生成AIの登場により、AIの概念が急速に一般化(民主化)したので、自らの権威性に利用しているだけです。
「儲かる=希少性で価値が上がる」というロジックから考えれば、今になってそんなことを言うのはおかしいのです。最も価値が高いとされた2013年前後にビジネスに取り入れずに、一般化した近年に「AIで儲かる」と謳うのは矛盾しています。
今NFTを買えば価値が上がる、というのも同じです。最も需要が少ないときに手に入れて、需要が増えたときに売れば儲かるという市場原理に反しています。
セミナーで「儲ける」「稼げる」を標榜しているものもそうですが、それが本当なら、そんなお宝情報を吹聴するのは矛盾しています。幸せを他者にも分け与えたいというのであれば、やはりその人が儲け続けて、お金をバラまけばいいだけです。
本を出版したらブランディングされて仕事が増えるというのは、たしかにその通りということもあるでしょう。しかし「出版→ブランディング→仕事が増える」という三段論法に、じつは論理の飛躍があります。
出版し、認知度が広がることで仕事によい影響を与えるものもあれば、そんなことをしないほうがブランディングになる場合もありますし、仕事が増えるとも限りません。
これらのケースに限らず、極端な論理の飛躍がある場合というのは、えてしてそのことにより利益が確定する「搾取前提の都合」でできています。
搾取ビジネスをする輩は、こうした矛盾や論理の飛躍を巧みに隠します。彼らの話は可視化できるようにメモを取りながら聞いて、あとから見たとき、あるいは第三者に相談したときに、そういった点に気づきやすいようにしておくなどの対策も大切です。
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後編記事〈「これで成功した」「儲かった」という甘い言葉にご用心…「搾取ビジネス」に騙されないための最大のポイント〉でも引き続き、搾取ビジネスを見抜くための最大のポイントをお伝えします。