【毎日書評】ディズニーに学ぶ「どんな人でも活躍できる」人材育成の5ステップ

AI要約

著者はディズニーで20年以上の経験を積み、企業の成長に必要な共通点を探る。

ディズニーは全員が成果を出せる仕組みを整え、個々のモチベーションに頼らない教育体系を築いている。

本書では個人のミッションを達成するための仕組みを紹介し、マニュアルの重要性と活用方法について解説。

【毎日書評】ディズニーに学ぶ「どんな人でも活躍できる」人材育成の5ステップ

『どんな人も活躍できる ディズニーのしくみ大全』(大住 力 著、あさ出版)の著者は、20年以上にわたってディズニーで多くの経験を積んできたという人物。ディズニーランド単体(点の時代)から、テナント店舗を含むリゾート全体(面の時代)のキャスト教育に携わってきたのだそうです。

そして以後は東京2020オリンピックの人材育成統括をはじめ、サービス業界、金融、製造、ITなど多彩な業界の企業に向けたコンサルティング、組織変革、人材開発、チームビルディングなどを通じ、多くの経営者やリーダー、さらには実践現場と接してきたのだといいます。

この経験から実感しているのは、成長し続けている企業には、ある共通点が存在するということです。それは、組織自体に強い意志があるとともに、蓄積されたノウハウを体系的に整理し、人材教育につなげていることです。(「はじめに」より)

社員ひとりひとりの能力を正確に把握し、個々の強みを活かしつつ、組織全体としても高いパフォーマンスを実現するための教育体系を築いていく──。そうした積み重ねが、変化に強く、長期的に発展するカギになっているということです。

そして、その際たる例が、著者が長年働いてきたディズニーです。ディズニーでは従業員個々のモチベーションに頼らず、全員が一定の成果を出せる仕組みを整えているというのです。なぜなら、「仕事はやる気や動機づけによって行うものではない」と考えているから。

そこで本書において著者は、ディズニーが人材育成において大切にしている価値観を軸として、全社員を活躍させるための仕組みを紹介しているわけです。

きょうはそのなかから、個人のミッションを達成するための仕組みを明らかにした第3章「1人ひとりが動くしくみを作る」内の「5つのステップで定着させる」に焦点を当ててみたいと思います。

現代の人手不足の職場における課題は、新しいメンバーを早く現場に適応させ、生産性を維持すること。

著者によればそのような状況下では、マニュアルが重要な役割を果たすのだそうです。なぜならマニュアルがあるだけで、誰が担当したとしても、仕事の質を一定に保つことができるから。

そこでここでは、「職場のマニュアルをもとに、メンバーがミスをすることなく仕事(とくに量的仕事)ができるようにしていく方法」が紹介されているのです。(72ページより)