存在自体が奇跡かも? マツダMX-30 R-EV 長期テスト(最終) 航続距離はBEVより優れるけれど・・

AI要約

マツダMX-30 R-EVは、型にはまらないスポーツカーではなく小さなハイブリッド・クロスオーバーであり、市場には存在しない特異なモデルである。

車のデザインやパワートレインは独自性があり、都市部での燃費は優れているが、高速走行時の燃費やロータリーエンジンのオイル消費など、問題も抱えている。

また、不具合も報告されており、まだ改善の余地があるようだ。

存在自体が奇跡かも? マツダMX-30 R-EV 長期テスト(最終) 航続距離はBEVより優れるけれど・・

プラットフォームを共有する、型にはまったようなモデルが増える中で、特別なエンジンが、スポーツカーではなく小さなハイブリッド・クロスオーバーに載っている。ロータリーエンジンのマツダMX-30 R-EVが存在すること自体、奇跡に近いのかもしれない。

つまり、周囲とは明らかに違うクルマを欲する人のための1台といえる。市場を見渡しても、MX-30 R-EVと同等の内容を持つモデルは存在しないと思う。

2024年に購入できる、普通ではない、普通車といってもいいかも。ただし、数か月試乗してみて、他メーカーが提供しない理由も見えてきた。

まずは観音開きのサイドドア。少し長めのフロントドアの後ろに、リアヒンジの小さなリアドアが付いている。コンセプトカーのようでカッコいい。このスタイルを採用した現行モデルは、フェラーリ・プロサングエだけだ。

しかし、実用性に優れるとはいいにくい。後席へ乗り降りするには、必ずフロントドアも開く必要がある。しかも、フロントドアは長く、狭い場所では乗り降りしにくい。狭い場所でリアドアも開くと、身動きが取れなくなってしまう。

リアドアには、外側にドアハンドルがなく、ウインドウも小さい。前席のシートベルトはリアドアから伸びており、後席の人が降りる時は、前席の人がシートベルトを外す必要がある。車内空間は4ドア相当だとしても、2ドアの不便さを背負っているように思う。

ハイブリッド・パワートレインも、ライバル以上に優れるとはいえないだろう。市街地ではバッテリーEVとして走れ、長距離移動時は小さなロータリーエンジンが発電を担い、大きな駆動用バッテリーを必要としていない。机上では理に適っているのだが。

確かに、市街地中心で乗っている限り、35.0km/L程度の燃費は得られる。他方、駆動用バッテリーだけで走れる距離は、現実的に83km程度。高速道路を110km/hでクルージングしていると、燃費は10.6km/Lへ落ちてしまう。褒められる数字ではない。

さらに、ロータリーエンジンはエンジンオイルも消費が多い。オイルセンサーが不調でランダムに警告灯が光り、あてにならなかったのだが、実際に確かめるとオイル量が基準値以下ということがあった。0W-20のオイルを、1.5Lも補充できたほど。

その後、パワートレインの異常が表示され、車両交換になったことは前回ご報告したとおり。ボディカラーはレッドからグレーへ変わったものの、基本的には同じ仕様のMX-30 R-EVがやって来た。

ところが、これも不具合を抱えていた。90km/hから95km/hの間で、クルマが不自然に振動するというものだ。これは、原因を確かめられなかった。