RIZAPが業績不振から巻き返すには何が必要か――21世紀のマーケティング界の大転換

AI要約

ライザップはSOMPOホールディングスから300億円の出資を受け、財務状況の改善を図る。しかし、M&Aによる債務負担やチョコザップ事業による赤字拡大など、財務面では厳しい状況にある。

チョコザップ事業は多店舗展開や新サービス提供により成長を遂げているが、広告費用と赤字が拡大しており、事業継続には不安が残る。

ライザップは業績面と財務面での矛盾する状況にあるが、今後の経営方針や市場動向によって事業の立て直しを模索する必要がある。

RIZAPが業績不振から巻き返すには何が必要か――21世紀のマーケティング界の大転換

 ライザップが、日本を代表する保険グループのひとつであるSOMPOホールディングスから300億円もの出資を受けることになった。直近2024年3月期の有価証券報告書では、ライザップは、継続企業の前提(ゴーイングコンサーン)について重要な問題があるとする記載をしなければならない状況に陥っていた。継続企業の前提に疑問があるとはつまり、事業が継続できるかどうか疑わしい財務状況だった、ということである。ライザップは今回の資金調達によって資本金を約300億円回復し、この記載を取り消すことができたが、果たして今後、事業を立て直すことができるだろうか。

■ライザップは今、絶好調じゃないの? 

 ライザップが危機だとか、立て直せるのかと言われても、ピンとこない方も多いだろう。「ライザップは今、絶好調なのではないか?」と。実際、同社がいま積極展開しているチョコザップについては、1500店舗を超えたとか、会員数が100万人に達したというような景気のいい話ばかりが聞こえてくる。チョコザップについては連日のように新サービスが発表されているし、テレビでもCMをよく見かける。そんなライザップの業績が危ないと言われても、にわかには信じられない方もおられるかもしれない。

 果敢な成長戦略を志向している姿もまた、ライザップの真実を映す一面ではあるが、他方で財務的には非常に厳しい状況にあるのもまた事実なのである。同社は、2017年頃に行った積極的なM&A策が裏目に出て、多額の債務を負った。SOMPOから出資を受けるまでは、同社の負債比率は8割を超え、このままの赤字が続けば債務超過も目の前という状況に陥ってしまっていたのである。

 そんな中で起死回生の一策として打ち出されたのが、チョコザップであった。「コンビニジム」をうたい、無人のトレーニングジムを定額料金で使い放題とした同事業は、競合の半値に近い、業界の常識を覆す価格で展開された。だが、その出店数の増大と、広告費用とがかさみ、赤字は拡大。その結果として、2024年3月期決算では、事業継続に黄信号が灯る状況となったのである。