「資格で起業」はなぜ危ういのか?

AI要約

資格を持つことが独立起業において有利である理由について解説しています。法的制約のあるスキル資格とステータス資格について詳しく説明しています。

ステータス資格を持つことで信頼度が高まり、自己紹介や営業活動において有利になることが述べられています。

ただし、資格がなくても実績が十分にあれば仕事を取ることが可能であることも説明されています。

「資格で起業」はなぜ危ういのか?

大企業に勤めていても副業が推奨される今、起業に興味を持つ人は増えています。そんな中、常に注目されているのが資格の取得。すでに資格を持っている人はもちろん、資格を取って独立したい人や資格に興味がある人に必読のQ&Aを、経営コンサルタントで士業(特定行政書士)でもある横須賀輝尚氏の著書「資格起業バイブル」から、再構成してお届けします。

『Q.独立開業を考えています。起業の際には、やはり資格を持っていたほうが有利でしょうか?

現在サラリーマンです。2~3年後に独立起業を考えています。それまでにできる準備として、経営の勉強をしたり、お金を貯めたりしようと思っています。どうせ勉強するなら資格でも、と資格の取得を考えているのですが、資格はやはりあったほうが有利でしょうか?』

独立起業する場合に資格があったほうが有利かどうか?

この質問に回答する前に、そもそもの資格の性質についてお伝えする必要があります。この質問は、論理的なようで実は的外れでもあるのです。それでは、順番に見ていきましょう。

まず資格には大きく分けて2つの種類があります。

ひとつ目はその資格がないと活動できないような、いわゆる法律で決められた「独占業務」を持つ資格です。これを私は「スキル資格」と呼んでいて、弁護士や司法書士などの士業の多くがこれに当たります。

これに対して独占業務を持たずに、その資格によって一定の知識があることを示すような資格があります。

たとえば、中小企業診断士やファイナンシャルプランナーなどの資格がこれにあたり、この資格がなかったとしても、コンサルティング業を行うことや資産設計のアドバイスを行うことに制限はありません。このような一定の知識があることを指し示す資格を「ステータス資格」と私は呼んでいます。

まず、あなたが法律で制限のあるスキル資格を使って独立起業したいと考えていたら、有利不利の問題ではなく、必ず取得しなければなりません。弁護士や司法書士などの業務を無資格で行うことは重大な法律違反であり、無資格で仕事を行った人が逮捕されるなどの例は毎年報道されています。まずはあなたの独立起業にスキル資格が必要かどうかを判断する必要があります。

一方で、ステータス資格はどうかというと、これは持っていたほうが有利です。なぜ有利かというと、自分の知識やスキルを第三者が証明してくれるので、自己紹介の手間が省けます。

さらに、自分自身で自分の知識やスキルを客観的に表現するのは、実際のところ簡単ではなく、「説明が省ける点」では有利であるとはいえます。

たとえば、「資産設計などが得意です」というよりは、「ファイナンシャルプランナーを持っています」というほうが説得力に満ちています。

さらにいうまでもなく、国家資格など公的な資格であれば、信用度も非常に高いといえます。私自身の経験からいえば、まだ20代前半で実績がなかった頃でも資格を持っていたために仕事が取れていたので、資格に対する信頼度は比較的高いと感じています。独立して仕事を取るにはさまざまな営業手法がありますが、そのいずれの方法でもお客様に信頼されなければ、仕事を依頼されることはありません。具体的な営業については別の章で回答しますが、資格のような第三者の証明がない状態で信頼してもらうのはなかなか難しいものです。

もっとも、資格がない場合でも、自分自身の仕事の実績が優れていれば、資格がなくても仕事を取ることは十分可能であることは付け加えておきます。有利といってもあくまでも言葉そのまま「有利である」というだけで、「資格があれば必ず食べていける」「資格さえ取れば間違いない」という意味ではないことに注意が必要です。