JR東日本の新サービス「えきねっとQチケ」と「新幹線eチケット」いったい何がどう違う?

AI要約

JR東日本が東北地方で新たなチケットレスサービス「えきねっとQチケ」を開始。

同社のチケットレスサービスにはICカードを利用した「新幹線eチケットサービス」とも異なる部分がある。

利用者はえきねっと申込時にICカードかQRコードのどちらかを選択して購入する必要がある。

JR東日本の新サービス「えきねっとQチケ」と「新幹線eチケット」いったい何がどう違う?

 JR東日本は10月1日、Suicaエリア外でもチケットレスで乗車できる「えきねっとQチケ」を東北地方で開始する。同社のチケットレスサービスでは、ICカードを利用した「新幹線eチケットサービス」もある。2つのサービスの大きな違いとは何か。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

● JR東日本が行う 3つのチケットレスサービス

 JR東日本は今年10月1日、同社初となる本格的なQRコードを利用したチケットレスサービス「えきねっとQチケ」を東北地方で開始する。

 これはオンライン予約サイトえきねっとで新幹線・在来線特急券や乗車券を購入し、えきねっとアプリ上に表示した「乗車用QRコード」を、自動改札機にかざすことで利用できるチケットレスサービス。2025年下期に東京都区内と東北新幹線、2026年下期には上信越地方と上越・北陸新幹線がエリアに追加され、2026年度末までにJR東日本エリア全域に導入が完了する予定だ。

 これでJR東日本のチケットレスサービスはQRコードに加え、ICカードを利用した「新幹線eチケットサービス」、スマホで購入できる「在来線チケットレス特急券サービス」の3本柱となる。それぞれ守備範囲が異なり、どこで何を使えるのか分かりにくいと感じている人は少なくないだろう。

 システム上では「えきねっとQチケ」と「新幹線eチケットサービス」の基本的な仕組みは同じだ。えきねっとで購入した乗車券情報はセンターサーバーに記録されており、購入情報にひもづいたICカードのIDまたはQRコードで自動改札機を通ると、センターサーバーに照会して有効判定する。

● えきねっと申込時に ICカードかQRコードを選択

 新幹線のチケットレスサービスはSuicaが先行した。2006年にサービスを開始したガラケー版「モバイルSuica」が、2008年に「モバイルSuica特急券」を導入するにあたり、新幹線全駅にSuica対応自動改札機が整備された。

 関東圏では、新幹線停車駅が2駅以上含まれるSuica定期券で新幹線自動改札機を通過すると、新幹線特急料金をチャージ残高から引き去って、自由席をチケットレス乗車できるサービスを2003年から提供していた。

 また、2018年4月には、事前登録したSuicaなど交通系ICカードのチャージ残高で、運賃・自由席特急料金を支払える「タッチでGo!新幹線」を追加し、定期・定期外ともに近距離の新幹線自由席をチケットレスで利用できるようになった。

 2020年3月にサービスを開始した新幹線eチケットサービスは、こうしたSuicaインフラを活用し、システムを拡張する形で導入された。一方のQRコード乗車券の導入にあたっては、新たに読み取り部を整備する必要があり、自動改札機の更新にあわせて順次対応している形だ。

 そんな双子のような2つのサービスだが、JR東日本のプレスリリースによれば、えきねっと申込時に「えきねっとQチケ」と「新幹線eチケットサービス」のどちらかを選択してから購入する形になるようだ。利用者から見れば、乗車券・特急券をICカードで受け取るか、QRコードで受け取るか、の違いのように映る。