小林製薬新社長に山根聡氏:公益財団立ち上げの立役者、医療的ケア児の支援に尽力

AI要約

小林製薬は、社長と会長が辞任し、新社長に山根氏が就任することを決定した。

山根氏は、小林製薬青い鳥財団の設立に尽力し、自己株式の配当金を活動原資にする非営利組織の経済基盤づくりを目指している。

山根氏は、医療現場での経験を活かし、子ども支援などの活動に尽力しており、小林製薬でサステナビリティのけん引役も務めている。

小林製薬は7月23日、臨時取締役会を開き、小林一雅会長と小林章浩社長が辞任し、山根聡専務が新社長に就任することを決定した。山根氏は、医療ケアが必要な子ども支援などを行う公益財団法人小林製薬青い鳥財団(東京・港)設立に尽力した。自己株式の配当金を財団の活動原資にすることで、非営利組織の「持続可能な経済基盤」づくりを目指した。(オルタナ副編集長=吉田広子)

小林製薬は2017年、公益財団法人青い鳥財団を設立した。その設立に尽力したのが、当時、財務担当だった山根氏だ。発行済み株式の1%にあたる85万株を1株あたり1円で信託銀行に譲渡し、財団を設立する計画だった。財団は、自己株式の配当を元手に活動する。

山根氏は、オルタナの取材に対し、財団設立の経緯を次のように語った(2023年5月当時)。

「私は入社してすぐに、米医療機器メーカーと小林製薬の合弁会社で営業やマーケティングを担当した。医療現場に近いところで、病気や障がいに苦しむ人たちにたくさん出会った。その人たちに何かできることはないか、常に頭の中にあった」

「1990年に小林製薬に戻ったが、当社は一般用医薬品が主体なので、直接的な貢献は難しい。何か道はないか探しているなかで、自己株式の処分と財団設立がうまく結び付いた」

当時、議決権行使助言会社から「安定株主づくりに過ぎない」として、反対を推奨されたが、決意はゆるがなかった。「安定株主づくりであることを否定するために、国内外の投資家を回った」(山根氏)という。

その結果、株主の9割が賛成し、財団を設立した。

「売り上げを伸ばし、利益を上げ、配当金が出れば、株主も喜ぶし、社会課題に対する支援もできる。後ろ指を指されるような話ではなく、自信をもってやりたかった。こうした取り組みの是非を世に問いたいとも思った」

山根氏は、小林製薬でサステナビリティ(持続可能性)のけん引役も担ってきた。