発売は「25年」早かった? ホンダ・インサイト アウディA2(1) デザインは今でも新鮮!

AI要約

1999年に発売されたホンダ・インサイトとアウディA2は、先進的な技術とエネルギー効率を追求した新時代のクルマとして注目されたが市場の反応は冷ややかだった。

インサイトは軽量なボディ構造やハイブリッドシステムを特徴とし、システム合計77psのパワーを持っていた。

一方、A2はアルミ製スペースフレーム構造を用いて軽量化を実現し、実用性を保ちつつ軽量化を図っていた。

発売は「25年」早かった? ホンダ・インサイト アウディA2(1) デザインは今でも新鮮!

21世紀が始まる直前まで、BBCに「トゥモローズ・ワールド」という番組があった。毎週、未来を予見した技術が紹介された。人生を変えるかもしれないという、興味深いガジェットも登場したが、実際はどれも的外れだったようだ。

それでは1999年に発売された、ホンダ・インサイトとアウディA2はどうだろう。どちらも先進的な技術と理想的な思想を重ね合わせ、エネルギー効率を追求した、新時代のクルマだと主張されていた。

ところが、25年前の市場の反応は冷ややかだった。販売は振るわず、開発費の回収すら難しかったという。だがタイミング次第では、違っていた可能性はある。むしろ物価高騰にあえぐ今、この2台は的を得た存在かもしれない。

ハイブリッドの2ドアクーペに対し、ディーゼルの5ドアハッチバックと、見た目や動力源は違う。しかし、空気抵抗を抑え車重を軽くし、燃費が追求された点で共通している。

発売は、インサイトの方が数か月早かった。英国では、トヨタ・プリウスより先に販売されたハイブリッド・モデルとして、注目度も高かった。

低域トルクをアシストする、厚さ60mmの薄い駆動用モーターを、1.0L 3気筒ガソリンエンジンのクランクシャフトへ連結。それぞれ13psと68psを発揮し、システム合計で77psがうたわれた。

そのブラシレスモーターは、減速時に発電し、スターターの役割も果たした。現代のハイブリッドへ通じる技術といっていい。

インサイトのスタイリングは、今見ても新鮮。驚くほど小柄で、背の高いA2に並ぶと、更に小さく見える。リアタイヤにはスパッツが履かされ、ルーフラインが後端で鋭角に切り落とされたカムテール。空気力学的に練られたカタチだと納得できる。

全高は1355mmと低く、リアのトレッドは狭い。滑らかなティアドロップ状のシルエットで、空気抵抗を示すCd値は0.25と、今でも評価されるべき小ささだ。

ボディシェルやサスペンションは、アルミニウム製。エンジンも主にアルミ製だが、さらに軽量なマグネシウムも一部へ用いられている。その結果、インサイトの車重は835kg。ホンダUKが管理する試乗車は、エアコン付きで852kgあるけれど。

対するアウディA2の車重は、1番軽い仕様で895kg。今回の試乗車はディーゼルエンジンで重く、990kgある。とはいえ、真っ当な4シーターで390Lの荷室を持つという実用性を考えれば、驚くほど軽い。

これを叶えたのが、インサイトと同じ素材。大型サルーンのA8から採用が始まった、アルミ製スペースフレーム構造が、小さなサイズに展開されている。

ボディシェル単体では、大人2人で持ち上げられるほど軽量だったとか。その表面に、アルミ製のボディパネルが組まれている。