経団連、夏季フォーラムが閉幕 生成AIや脱炭素電源の原子力活用を提言

AI要約

経団連が長野県軽井沢町で2日間の日程で開いた夏季フォーラムは、サステナブルな資本主義の実践に向けた議論を総括し、新たなビジョンの構築を目指して総括提言をまとめた。

提言には人口減少やエネルギー安定供給などの課題に積極的に取り組むための施策が盛り込まれており、政府に果敢なる遂行を求めている。

さらに、デジタル技術の活用や原子力の再稼働、教育改革など、様々な分野における施策が提言されている。

経団連、夏季フォーラムが閉幕 生成AIや脱炭素電源の原子力活用を提言

経団連が長野県軽井沢町で2日間の日程で開いた夏季フォーラムは19日、分科会で議論した内容を総括提言にまとめ、閉幕した。深刻な人口減少・少子高齢化、資源を持たない島国という2つの制約を前提に、サステナブル(持続可能)な資本主義の実践に向け、生成人工知能(AI)など新しいデジタル技術の積極的な活用や、脱炭素電源である原子力による電力の安価・安定供給確保などを盛り込んだ。関連する施策の果敢なる遂行を政府に求めた。

新たなデジタル技術への挑戦に関する分科会座長を務めたNTTの澤田純会長は「人口減少などの社会課題に対処し生産性を向上させるためには、デジタル技術の社会実装やデータの利活用や連携が不可欠」とした上で、「(最先端技術の)AIの活用にはさまざまな課題が存在するが、リスクを管理し最大限活用することが、日本の産業競争力の強化になる」と指摘した。

エネルギーの安定供給などの分科会座長を務めた住友商事の兵頭誠之会長は「産業と国民の生活を支えることがエネルギー戦略の目的であり、エネルギーの安定供給の確保は極めて重要な課題だ」と強調。喫緊の課題として、脱炭素電源である原子力の最大限の活用などをあげた。とりわけ、原子力については安全・地元理解を大前提とする再稼働、新増設・リプレース計画の具体化を急ぐことが重要と訴えた。

提言ではこのほか、地域経済社会を持続的に発展させるため、新たな道州制も視野に入れた合併を含む地方自治体の見直しや、未来の日本社会を支えるグローバルリーダーの育成に向け、長期海外留学への積極支援や多様性の尊重といった時代に即した抜本的な教育改革の断行などを求めた。

今回取りまとめた総括提言はこの日、来賓として出席した岸田文雄首相に経団連の十倉雅和会長らが手渡した。経団連では、提言を踏まえ、高齢者数がピークを迎える令和22年に目指すべき日本の経済や社会について新たなビジョンを来年1月にも公表する方針。