【分析】ドル円相場は「ドル安・円高に転換」か「ドル高・円安継続」か【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】

AI要約

ドル円は介入観測や日米要人発言により急速にドル安・円高が進行。

ドル円が移動平均線を下抜ける可能性もある。

市場では政府や日銀の介入が疑われている。

トランプ前大統領や河野太郎デジタル相の発言も影響し、ドル円は急落。

テクニカル分析では、短期的なドル安・円高が予想されている。

一目均衡表の雲を下抜けると、ドル売り・円買いの強いシグナルとなる。

ドル円は転換線の基準線下抜けによりさらなる下落が予想される。

5月3日安値や200日移動平均線辺りをサポートとして意識する必要がある。

【分析】ドル円相場は「ドル安・円高に転換」か「ドル高・円安継続」か【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】

チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)が解説します。

●ドル円は介入観測や日米要人発言で161円台後半から155円台前半までドル安・円高が進行。

●ドル円の日足が一目均衡表の雲を下抜けた場合151円台までドル安・円高が進む可能性もある。

●一本調子のドル高・円安は収束か、ただ収支構造上、年度内140円水準の回帰は難しいだろう。

直近のドル円相場の動きを振り返ると、7月3日に1ドル=161円95銭水準をつけた後、7月11日発表の6月米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回ったことを機に、ドル安・円高方向へ急速に反転しました。11日と12日に相場が一気に動いたことで、市場では、政府・日銀が2営業日連続で、約5.6兆円規模のドル売り・円買い介入を実施したとの見方が強まっています。

その後、7月16日配信の米ブルームバーグ・ビジネスウィークのインタビューで、トランプ前大統領はドル高を是正する意向を示し、また、河野太郎デジタル相は翌17日、ブルームバーグテレビジョンのインタビューで、円安是正のため政策金利を引き上げるよう日銀に求めました。これらの発言も材料視され、ドル円は7月18日に一時155円38銭までドル安・円高が進みました。

ドル円相場が足元で急速にドル安・円高に振れたことで、テクニカル分析上、短期的にもう一段、ドル安・円高が進む可能性が高まりつつあります。ドル円は25日移動平均(昨日7月18日は159円55銭水準に位置)をすでに下抜け、75日移動平均線(同156円81銭水準に位置)辺りで揉み合う展開となっています。また、一目均衡表では、日足が雲を下抜けるか否かに注目が集まります。

ドル円がこの先、雲(先行スパン1と先行スパン2に挟まれた領域)の下限(昨日は155円49銭水準に位置)を大きく下回れば、転換線の基準線下抜けと遅行線の日足下抜けにより「三役逆転」が完成し、非常に強いドル売り・円買いシグナルと判断されます。この場合、5月3日安値の151円86銭水準や、200日移動平均線(昨日7月18日は151円40銭水準に位置)辺りを意識し、ドル安・円高が進むことも考えられます。