「EC激戦区」インドネシア、過酷な法規制に挑むなら「覚えておきたい」ポイントとは

AI要約

インドネシアは、世界4位の人口を持ち、若年層やモバイル利用率が高いことから越境EC市場において注目されている。

中国、イギリスに次ぐ世界第4位のEC化率を持つインドネシアでは、ShopeeやTokopediaといったECモールが人気を集めている。

また、TikTokの普及や社会貢献活動の動きなどもインドネシアのEC市場に影響を与えている。

「EC激戦区」インドネシア、過酷な法規制に挑むなら「覚えておきたい」ポイントとは

 コロナ禍を契機に成長したEC市場。円安の影響もあり、昨今では国境を越えて商品取引をする「越境EC」も活発化しています。そんな「越境EC」の進出先として現在注目されているのが、インドネシアです。世界4位の人口を抱え、若年層の多さやEC化率の高さなどから参入を狙う企業も多い同国ですが、参入を阻む法規制や文化的相違も多く苦戦を強いられるケースも多くあります。ここではインドネシアにおけるEC市場の現状と参入のポイントについてわかりやすく解説します。

 越境ECとは、インターネットを利用して異なる国や地域に居住する消費者に商品やサービスを販売するビジネスモデルです。企業はオンラインプラットフォームを通じて国境を越えて商品を販売することができます。

 越境ECを行う際には、主に2つの手段が存在します。1つは自社サイトを開設し、そこで商品を売り出す方法。そして、もう1つが、現地のECモールに直接出品して商品を販売する方法です。

 そんな越境ECの急成長市場として現在注目されているのが、インドネシアです。

 インドネシアは、EC市場で海外進出を狙う企業にとって多くの魅力を持っています。まず、挙げられるのは、人口の多さです。同国は約2.7億人という世界4位の人口を有しており、その巨大市場は、さまざまな商品やサービスに対する広範な需要を生み出す潜在能力を持っています。

 人口構成における若年層の多さも大きな特徴です。同国では、15歳未満の人口が全体の23%、30歳未満が約半分を占めていることから、若年層をターゲットにした商品やマーケティング戦略が有効に機能する可能性があります。この若い消費者層は、新しい技術やトレンドに対して受容的であり、旺盛な消費意欲を持っていると言えるでしょう。

 さらに、モバイルファーストな生活様式が根付いており、スマートフォンの普及率が急速に上昇していることも特徴です。

 インドネシア・インターネット・プロバイダー協会が今年2月に実施した調査によると、2024年のインドネシアのインターネット利用者数は約2億2156万人で、普及率は79.5%に達しており、年々上昇しています。

 また、2023年の経済産業省の調査では、インドネシアのEC化率は中国、イギリス、韓国に次いで世界で第4位です。この調査で、中国がトップで45.3%、次にイギリスが35.9%、韓国が30.1%、インドネシアが28.1%、シンガポールが17.2%となっており、日本は12.9%で第9位にランクしています。

 そんなインドネシアでは、Shopee(シンガポール)、Tokopedia(インドネシア)、Lazada(シンガポール)、bilbil(インドネシア)といったECモールが人気を集めています。多国籍な人種を有するインドネシアでは、人口が多いためECサイトの選択肢が広がっています。

 また、日本でも人気のTikTokは、インドネシアでも同じく人気を博しています。

 調査会社Statistaの公表によると、インドネシアのTikTok利用者数は今年1月時点で1億260万人となり、米国に次ぐ世界2位です。

 TikTokは同国で、「TikTok Shop」と呼ばれるソーシャルコマース機能を2021年から提供しています。しかし、このTikTok Shopにより、安価な輸入品が市場に氾濫し、地元製品との価格競争が激化。規制強化の法律が施行されたことにより、TikTok Shopはサービス停止を余儀なくされ、再開するために現地大手ECサイト「Tokopedia」を買収し、TikTok Shopと事業統合するなどの再参入策を講じてようやく再開にこぎ着けるという出来事があり、注目を集めました。