初期投資1000万円が秒で消えていく…プロレスラー川田利明が絶望した「ラーメン店開業という地獄」

AI要約

川田利明氏がラーメン店を開業するために必要な資金について説明。プロレスラーとしての初期投資とは異なる厳しい現実を赤裸々に語る。

飲食業界での店舗借りる際の保証料の高額さや契約期間の重さについて述べる。

自営業としての負担や業務用冷蔵庫のリース契約に伴う不安定さについて触れる。

初期投資1000万円が秒で消えていく…プロレスラー川田利明が絶望した「ラーメン店開業という地獄」

元全日本プロレスのレジェンドレスラーで、現在は東京都世田谷区にてラーメン店「麺ジャラスK」を経営する川田利明氏。知られざるラーメン店経営の裏側と、飲食業界の暗部を赤裸々につづった著書、『プロレスラー、ラーメン屋経営で地獄を見る』(宝島社文庫)も好評な川田氏が、ラーメン店を開業するにはどれだけの資金が必要なのか、シビアすぎる現実を明かす。

どんなビジネスを始めるにしても、初期投資はどうしてもかかる。今までプロレスしかやってこなかったから、そのあたりのことはあまりピンと来ていなかった。

プロレスラーは文字どおり、裸一貫でやる職業。タイツとリングシューズさえあれば、あとは何もいらない。なんなら裸足で闘ってもいいわけで、初期投資とは無縁の世界だ。

もちろん、会社からみれば住むところを与えて、飯も食わせるわけだから、ひとりのプロレスラーがデビューするまでには、それなりの投資はしているものの、やる側の人間は本当に数万円もあれば、試合道具を揃えることができる。いや、先輩がお下がりのシューズやタイツをくれることだってある。

しかし、ラーメン屋……自営業の場合はそうは問屋が卸さない。借りた店舗のものはどれも使えないものばかりだったので、すべてを買い揃えたり、リース契約を結ばなくてはいけなくなった。

ただ、それ以上に大きな負担になるものがある。それこそが、店を借りる時に必要な「保証料」だ。

飲食店の場合、この「保証料」がべらぼうに高い。本当は正確な金額を書くべきなんだろうけど、正直、忘れてしまった。忘れた、というか、あまりにも高すぎて、もう思い出したくもない。

当然、敷金・礼金も別にかかるわけで、店の中がガラーンとしている状態でも、すでにけっこうなお金が財布から消えてしまっている。

厨房の中も、まずは食材を保管するための冷蔵庫が必要になる。業務用の大きなものだから、これも高い。あまりにも高いものはリース契約をするんだけど、その契約書に判子を押す時に、ある種の決断を迫られる。

普通に生活していて、何かをリース契約する時に「6年契約です」と言われても、別になんとも思わないけれど、店をオープンするために必要なものをリースする時には「そうか、俺は6年間は続けなくてはいけないのか……」とあとから実感する。

それは店舗の賃貸契約を延長する時も同じで、いまだに「これから数年後、この店は本当に続いているんだろうか?」と真剣に考えながら判子を押す。胃が痛くなるような決断は、店をやっている以上、いつまでもついて回る。