新分野の開拓を目指した、1980年代のホンダ製単気筒車──日本車初のスポーツシングル、ネオクラシック、フラットトラッカーレプリカ【ライター中村友彦の旧車雑感 Vol.9】

AI要約

1980~1990年代の2輪の世界では、スポーツ指向の4ストシングルが多くのライダーから支持を集めていた。CB250RSは、軽さと運動性能で注目を集めた国産ロードスポーツの第1号車だった。

CB250RSは、同時代の250ccツインよりも軽量でありながらパワフルな性能を持ち、後にセルフスターターを装備することで幅広いユーザーから支持を得た。

CB250RSは、CBX250RSへと進化し、他社からも250ccスポーツシングルが登場するきっかけを作った。

新分野の開拓を目指した、1980年代のホンダ製単気筒車──日本車初のスポーツシングル、ネオクラシック、フラットトラッカーレプリカ【ライター中村友彦の旧車雑感 Vol.9】

当記事で紹介する4台の単気筒車は、ホンダを代表する……という注釈付きで語られる車両ではない。とはいえ2輪の歴史を改めて俯瞰してみると、いずれも日本車初と言うべき資質を備えた、革新的なモデルだったのだ。※記事内の展示内容はリニューアル前のもの

昨今では下火になったけれど、1980~1990年代の2輪の世界では、スポーツ指向の4ストシングルが多くのライダーから支持を集めていた。そして当時の日本におけるスポーツシングルと言ったら、ヤマハSR・SRXシリーズやホンダGB系、スズキ・グース350/250などが筆頭に挙がることが多いものの、単気筒ならではの魅力を前面に打ち出した国産ロードスポーツの第1号車は、ホンダが1980年に発売したCB250RS……ではないかと思う。

と言うのも当時の基準で考えると、“ひらり、俊足 現代(モダン)シングル。”というキャッチコピーを掲げるCB250RSの軽さは圧倒的だったのだ。同時代の250ccツインの乾燥重量が、ホンダ・スーパーホーク:173kg、ヤマハRD250:150kg、、スズキRG250E:139kg、カワサキZ250FT:145kgだったのに対して、CB250RSは128kg。もちろん、バイクの魅力は重量だけでは語れないのだが、CB250RSの最高出力は25psで、パワーウェイトレシオは2ストのRDやRGに迫る5.12kg/ps。いずれにしてもCB250RSは、オンロードにおける4ストシングルの可能性をわかりやすい形で世に示したバイクで、2気筒以上では絶対に真似できない運動性能を実現していたのだ(1978年に登場したヤマハSRは、CB250RSほど運動性能を追求したモデルではなかった)。

ちなみに、当初は軽さを優先して始動方式をキックのみとしていたCB250RSだが、1981年にセルフスターターを装備するCB250RS-Zを追加したことで、女性ライダーやエントリーユーザーからの支持を獲得。1983年になると後継車のCBX250RSがデビューし、以後はヤマハSRX250やカワサキCS250、スズキNZ250など、他社からも250ccスポーツシングルが登場することとなった。

──CB250RSの外装は、同時代のCB-Fシリーズに通じる雰囲気。1981年8月にはCB1100Rのカラーを転用した限定車として、CB250RS-ZRが登場。

──メーターは灯火類と歩調を合わせるかのようなスクエアデザイン。初代のハンドルにはフラットとアップの2種が存在した。

──フレームはダイヤモンドタイプで、2軸バランサーを内蔵するOHC4バルブ単気筒エンジンはXL250S用がベース。