成田空港、航空燃料の輸入を初めて受け入れへ-不足対応で商社が調達

AI要約

成田国際空港(NAA)が航空燃料不足に対応し、海外からの燃料輸入を初めて受け入れることが明らかになった。

人手不足や輸送の滞りにより航空燃料供給に支障が出ており、外国航空会社の増便や新規就航が見送られる状況にある。

経済産業省は官民の協力で航空燃料不足に対応するタスクフォースを立ち上げ、緊急対策として航空燃料を輸送するタンカーを確保するなどの取り組みが進められている。

(ブルームバーグ): 成田国際空港(NAA)は11日、国内の航空燃料不足を受け、自社の給油・輸送設備を使い、海外からの燃料輸入を初めて受け入れると明らかにした。

同社の広報担当者はブルームバーグの電話取材に対し、守秘義務があるため輸入量などの詳細は言えないとした上で、航空会社と契約した商社が海外から調達した航空燃料の受け入れを進めていると述べた。NAA傘下の成田空港給油施設が保有する千葉港頭石油ターミナル(千葉市)で荷揚げされた航空燃料は、パイプラインで空港まで運ばれる。

通常は国内で製造された燃料をタンクローリーや内航船などで運び込むが、人手不足などで輸送が滞り、海外の航空会社が増便や新規就航を見送る動きが起きていた。円安などを背景に増加が続く訪日外国人客(インバウンド)への影響が懸念されており、航空燃料の輸入に期待する向きもある。

広報担当者は、今回の輸入受け入れの背景として、航空燃料の不足を受け石油の元売りなどに対し安定供給のため輸入を含めて対応するよう働きかけを行ってきたと説明した。

野村証券の広兼賢治アナリストらは8日付のリポートで、航空燃料の国内での生産を増やすために製油所の稼働率を上昇させるとガソリンなど他の石油製品も生産され需給が軟化するリスクがあり、「航空燃料の輸入が現実解」との見方を示した。また、航空燃料不足は構造的に続く可能性があり、解決には輸入増加など「国の関与が重要になってくるだろう」とも述べた。

航空燃料の不足を受け、経済産業省は官民のタスクフォースを立ち上げ対応に向けた議論を6月から開始している。日本経済新聞は10日、政府は緊急対策として製油所から空港まで航空燃料を輸送するタンカーを新たに3隻確保し、韓国などから空港に輸入する取り組みを始めると報じた。

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