《大相撲とカネ》「懸賞金」獲得本数の怪 快進撃の大の里が休場続きの照ノ富士より少ないのはなぜ?

AI要約

大の里が新関脇として注目の大相撲7月場所に臨む中、懸賞金の獲得本数についての取り組みや慣習が明らかになっている。

懸賞は幕内の取組において企業や商品名が書かれた懸賞旗を掲げて宣伝され、興味を引く宣伝文句が重要視されている。

懸賞の改定や配当の内訳、力士への支払いなど、相撲協会の取り組みについても明らかになっている。

《大相撲とカネ》「懸賞金」獲得本数の怪 快進撃の大の里が休場続きの照ノ富士より少ないのはなぜ?

 7月14日に初日を迎える大相撲7月場所。5月場所で史上最速Vを果たした大の里は、新関脇として本場所に臨む。今年1月場所に新入幕を果たしたばかりながら、横綱や大関を打ち破って破竹の勢いで出世街道を歩んでいる大の里だが、意外なことに注目の取組に集まるイメージのある「懸賞金」の獲得本数においては、上位陣にまだまだ水を空けられている。背景には角界独特の分配をめぐる慣習があるようだ。

「懸賞」は幕内の取組に懸けられる。呼出しが企業や商品名が書かれた懸賞旗を掲げて土俵の周囲を回り、場内放送で宣伝文句がアナウンスされる。NHKの大相撲中継では、場内放送の音声を絞ったうえで引いた映像の上に過去の対戦成績などの文字が重ねられるためわかりにくいが、館内で本場所を観戦している者にはかなりのインパクトがある。協会関係者が言う。

「懸賞旗1本につき活字で15文字以内の宣伝文句がアナウンスされます。そのため目立つデザインの懸賞旗を同じ取組に集中させ、興味をひく宣伝文句を流すスポンサーが多くなっている」

 懸賞の常連である永谷園は「味ひとすじお茶づけ海苔の永谷園」「さけ茶づけの永谷園」「梅干し茶づけの永谷園」「5月17日はお茶づけの日」といったお決まりの文句を流し、同じく常連の高須クリニックは「イエス!イエス!高須クリニック」「イエス!イエス!高須クリニック」と連呼するスタイルだ。前出・協会関係者が続ける。

「自由にやっているように見えるが、すべてに相撲協会のチェックが入ります。都内には懸賞旗を製作する会社が2社あります。70センチ×120センチのポリエステル生地に両面プリントされたものがモールで飾り付けされ、新規なら製作に1~2か月かかる。製作費は6万~7万円程度だが、デザインが決まれば相撲協会のチェックを受けないといけない。もちろん宣伝文句の審査もあります」

 この懸賞は、2019年9月場所から1本7万円に改定された(それ以前は6万2000円)。相撲協会の事務経費が1万円、力士の源泉徴収や所得税のための積み立て金が3万円を占め、力士が土俵上で受け取る金額は3万円となる(勝ち力士の獲得金額は6万円)。