「欠勤のチャット連絡は失礼、電話かメールで報告すべき」という文化を変えるためにコンサルが勧めたこと

AI要約

ビジネスチャットを有効活用するための方法について述べられている。

グループチャットの利点や普及の難しさ、意見の対立などが示されている。

チャット利用の障害としての「お作法」についても言及されている。

ビジネスチャットを有効活用するには、どうすればいいのか。400以上の企業や官公庁に組織変革支援を行ってきた沢渡あまねさんの著書『悪気のないその一言が、職場の一体感を奪っている』(日本能率協会マネジメントセンター)より、一部をお届けする――。

■グループチャットは情報共有のハードルを下げる

 私はグループチャットツールの活用を随所でおすすめしています。

 グループチャットは情報共有のハードルを大きく下げます。立ち話の内容を投稿しておいて、その場にいなかった人に理解を広げることもできる。日程調整や業務報告もチャットで関係者全員に一斉に伝えれば、情報伝達のタイムラグや不均衡、さらには誤解の余地を減らすこともできます。

 連絡の行き違いが減り、全員で景色を合わせて動くことができます。

 職場でまだチャットツールを使っていない/活用が進んでいない人には、この機会に、ぜひグループチャットの活用に率先して取り組んでほしいと思います。

■「チャットの利用が広がらない」のはなぜか?

 一方で、「チャットを導入したけれど、社内で利用が広がらない」なる声も大変よく耳にします。

 グループチャットツールが役立つのはわかった。経営層の了承を得てツールを導入した。社内の各部署にチャットの活用を呼びかけた。使い方もわかりやすく周知した。

 それなのに利用が広がらない。結局みんな口頭や電話、メールで業務連絡をしている。

 ううむ。どうしたものか?

■「対面じゃないとダメ」という意見が出てくる

 チャットの活用が広がらない企業に話を聞くと、現場で次のような意見が出て、仕事の仕方がなかなか切り替わらないと言われます。

 「チャットでは意図が正しく伝わらない。やっぱり仕事の連絡は対面じゃないとダメ」

「欠勤の連絡をチャットで済ませようとするのはいかがなものか。電話をかけるか、メールで丁寧に伝えるべきではないか」

「部長は忙しくて、チャットを確認している時間がない。口頭で言わないと話が進まない」

 従来のやり方が定着していて、報告・連絡・相談をチャットに切り替えるのが難しい。ツール導入の担当者が「オープンなコミュニケーションをしましょう」と呼びかけても、現場はシーンと静まりかえっている。この種のすれ違いは、さまざまな職場で見られます。

■「お作法」が誕生してしまう

 社員がチャットを使い始めたものの、いろいろな「お作法」が誕生してしまって、コミュニケーションが活性化しないなる悩みもよく聞きます。

 例えば、複数名にメンションをつけてチャットを送るときに、職位順に名前を記載しなければいけない。

 「部長」「課長」「係長」などの職位の記載もれもあってはいけない。

 さらに文章の「てにをは」にも完璧が求められる。

 緊急事態だからと考えてスピード優先で情報を共有したのに、「課長と書きなさい」「『を』が抜けている」と指摘が入る。

 作法が違うと言われ、揚げ足をとられてしまうのです。