「リニア中央新幹線」より2倍速い? 欧州の真空チューブ鉄道「ハイパーループ」をご存じか

AI要約

日本では、リニア中央新幹線の開業が待たれている。磁石を使い、浮かせて走らせることで時速500kmを可能にする。

ハイパーループ構想は、真空チューブ内を超高速で移動する革新的な交通手段であり、中国や欧州での研究が続いている。

2024年にオランダにハイパーループのテスト施設が開通し、将来的にヨーロッパに高速鉄道網を敷設する目標が掲げられている。

「リニア中央新幹線」より2倍速い? 欧州の真空チューブ鉄道「ハイパーループ」をご存じか

 日本では、リニア中央新幹線の開業が待たれている。磁石を使い、浮かせて走らせることで時速500kmを可能にする。CO2排出量に関しても、東京・大阪間を移動する際、航空機と比較して乗客ひとりあたり3分の1で済むことから、未来型の高速移動の手段として評価できそうである。そこで思い出されるのは、かつてイーロン・マスクによって注目を浴びた真空チューブ鉄道「ハイパーループ構想」だ。

 磁石にプラスしてチューブ内を真空状態にすることで、空気抵抗と摩擦をなくし、時速1000km超の超高速移動を可能にする(リニア中央新幹線の2倍超)。衝突の危険性が低く、移動のエネルギー使用量は、車や飛行機に比べて 10分の1であると推定されている。排ガスも出ないため、環境にも優しい。

 チューブ内を走るのだから、そもそも渋滞とは無縁である。さらに音も静かであるというから、夢のような乗り物といっても過言ではない。

 実用化を目指していた企業のひとつ、米国のハイパーループ・ワンが閉鎖というニュースが2023年の年末に流れ、落胆した人もいたことだろう。

 ハイパーループの研究は現在は中国がリードしていて、またインドなどでも実現に向け動いているが、最近、欧州最大のテスト施設が誕生し、ハイパーループ実現に再び希望の灯が宿った。

 2024年3月、オランダのフローニンゲン州のフェーンダムに、ハイパーループのテスト施設が開通した。

 テスト施設は、幅2.5mの鋼鉄製円筒で作られた白いプレハブのパイプである。全長420mであり、先が分岐している。分岐していることに加えて重要なのが、レーンを変更するスイッチの存在だ。

 同センターの所長サシャ・ラム氏は、このレーン・スイッチについて、ネットワーク構築上必要不可欠としている。同じコースを走っていても途中で分岐するわけで、例えば一方はパリへ、もう一方はベルリンへ向かうからである。

 このパイプ内で、カプセル(車両)の磁気浮上、推進、安定化、さらには車線切り替えを時速100kmまでの速度で実証可能となっている。真空状態だが、緊急時には、ポンプが数秒でシステムに空気を送り込むことができる。オープンなテスト施設であり、世界中のハイパーループ関連企業をテストに招待することが可能だ。

 欧州ハイパーループ・センター(European Hyperloop Center)は、ハイパーループ開発を促進させる目的で作られた非営利の官民連携の財団である。オランダ政府、欧州委員会、フローニンゲン州などから資金援助を受けている。

 運営者らは、このテスト施設が、ハイパーループが実現可能であることを証明する一助になると考えている。それにより、2050年までにヨーロッパ大陸に、全長6200マイル(1万km)の高速鉄道網を敷設するという目標を掲げている。