「日本の生産性はずっと低いまま」...外資系企業の上司に教わった「無駄な仕事」を減らす仕事術

AI要約

地方のFラン大学卒で0から営業を始めた著者が「日本一の営業」になるまでの変化を描いた内容。

外資系企業での新しい上司との出会いを通じて、仕事におけるスピード感の違いに驚くエピソード。

上司からの要求に対し、短時間で集中してアイデアをまとめることの重要性について学ぶ営業マンの成長物語。

「日本の生産性はずっと低いまま」...外資系企業の上司に教わった「無駄な仕事」を減らす仕事術

地方のFラン大学卒で0から営業を始めた著者は、いかにして「日本一の営業」へと大変貌を遂げたのか?「毎日が凄く辛い」「外回りをしている自分が情けない」...消極的に取り組み始めた営業の仕事が天職になるまでには、どんな心境の変化があったのか?

人と人との関わり合いである営業で得た「学び」には、どんなビジネスにも活かせるヒントが満載。仕事への向き合い方や他者の心の動かし方に迷うビジネスマン必読の話題作『コカ・コーラを日本一売った男の学びの営業日誌』(山岡彰彦著)から、内容を抜粋して紹介する。

『コカ・コーラを日本一売った男の学びの営業日誌』連載第16回

『あなたの会社は大丈夫?...日本企業が見習うべき、コカ・コーラ社流「時間を無駄にしない」会議の秘訣』より続く

外資系企業の上司の下で働くようになってから驚いたことの一つは、仕事におけるスピード感の違いです。

「これについてアイディアを考えて欲しいんだけど、10分待っているから考えを聞かせてくれない?」

これも藤野マネジャーからのリクエストです。

「え、じゅ、10分ですか」

いままでこういった場面では、急いでいる状況であっても、明日までに考えてきてくれと言われるのが普通でした。書面でまとめて提出する場合には2~3日程度の猶予があったものです。ところが、藤野さんから要求された時間はわずか10分です。とてもまともなものが出せるとは思えません。しかし、何らかの考えを形にして出さなければなりません。

短い時間にアイディアを絞り出し、ほとんど殴り書きのような文字で考えをまとめます。とても社内で提出する書面とは言えない代物ですが、私が10分でできるものはこれで精一杯です。ところが藤野さんは私が出したアイディアを丁寧に読んでいきます。急いで書いた私の文字はところどころに判読できない箇所があり、彼女はその都度、私に質問します。

以前の上司であれば「なんだ、この雑なレポートは」と叱り飛ばされるところですが、そのあたりはまったく意に介さない様子です。

一通り目を通した彼女がおもむろに「この部分は面白いけど、この箇所はもう少し工夫が要るわね」などと指摘します。ちゃんと目を通して、ポイントを私に伝えてきます。

「承知しました。わずか10分なので、きれいにまとめることができませんでした。以前なら翌日までとか、もっと時間をいただいていました。作り直しましょうか」

「作り直す必要はありません。10分という時間はわずかなんかじゃないの。大事なのは集中して、いかに仕事の濃度を上げるかということ。確かにきれいなレポートが必要な時もあるけど、こういったものはそうでなくても全然構わない。要求しているのはそんなことじゃないの。集中して出したアイディアが欲しいの。そこのところがわかっていないと、無駄な仕事に時間を使うことになるからね。ここではそんな生産性が低いようなことをしていると持たないわよ」

藤野さんは私が渡した紙を持って、さっさと自分の席に戻っていきました。