新紙幣、原価18円→20円に上昇 日銀非公表でも製造費から推定

AI要約

新しいデザインの紙幣が発行され、高度な偽造防止技術が採用されたことで製造コストが上昇している。

製造費用の増加は原料費の高騰や物価高の影響もあり、お札の原価が上昇している状況だ。

日銀は3Dホログラムなどの新技術を取り入れて製造費用が膨らんでいると説明し、今後も新紙幣の製造を進める予定だ。

新紙幣、原価18円→20円に上昇 日銀非公表でも製造費から推定

 7月3日に発行される新しいデザインの紙幣(日本銀行券)は、高度な偽造防止技術を採用したことで、製造コストは現行紙幣より重くなった。原料費の高騰などの物価高の影響も加わり、「お札の原価」は上がりつつある。

 紙幣は国立印刷局で製造し、発行を担う日銀が製造費用を支払って引き取っている。日銀は各紙幣の1枚あたりの製造費は非公表とするが、公表されている1年間の製造費から推定することができる。

 新紙幣のみを製造した2023年度の「銀行券製造費」は619億2509万円で、製造した枚数は計30億3000万枚だった。1枚あたりの原価は約20・4円だ。一方で現行紙幣のみを製造した21年度の製造費は542億9169万円で、製造枚数は計30億枚。1枚あたりの原価は約18・1円で、約13%(2・3円)上昇したと言える。

 日銀の担当者は「3Dホログラムなど偽造防止のための新技術を取り入れたうえ、原材料などの価格高騰で製造費用が膨らんだ」と背景を説明する。24年度は新紙幣を計29億5000万枚(1万円札約18億枚、5000円札約2億枚、1000円札約9億枚)を製造する見込み。【杉山雄飛】