今ならまだ買える? ワーク&ストアブランドのGジャンの魅力──ベルベルジン・ディレクター、藤原裕「ヴィンテージ百景」

AI要約

ワーク&ストアブランドのGジャンについて紹介。40年代のトレンドに合わせて作られたショート丈ジャケットの特徴や希少性について述べる。

カーハート、ストロングホールド、ヘッドライト、モンゴメリーワード、フォアモストなどの人気ブランドの貴重なデニムジャケットを紹介。各ブランドの特徴や希少性について解説。

ヴィンテージデニムマイスターである藤原裕氏による記事。ワーク&ストアブランドの貴重なGジャンの魅力について、情熱溢れる文章が綴られている。

今ならまだ買える? ワーク&ストアブランドのGジャンの魅力──ベルベルジン・ディレクター、藤原裕「ヴィンテージ百景」

カーハートからスティーブまで、古着好きが唸るワーク&ストアブランドのデニムジャケットを紹介する。

こんにちは、藤原裕です。今回紹介するのは、有名ワーク&ストアブランドのGジャンです。ワーク&ストアブランドといえば、カバーオールやオールインワンなどロングシルエットが主力アイテムですが、40年代にロデオスタイルやウエスタンファッションが人気を博したことから、その年代以降はトレンドに便乗してショート丈のジャケットが作られたのだと思われます。リーバイスやリー、ラングラーといったビッグネームと比べると生産数が圧倒的に少なく、特にファーストモデルで優良コンディション、しかも人気のビッグサイズのものともなると、まず見つかりません。今回取り上げたアイテムは、すべて私物……!と言いたいところですが、さすがにここまで豪華なメンツを揃えるのは不可能なので、先輩や友人からお借りしました。これほどレアなワーク&ストアブランドのラインアップを、たった1本の記事でチェックできるのは「ヴィンテージ百景」のみです!

■カーハート

三大ブランド以外のワークブランドの中では、最も人気が高いブランド。「昨年登場したsacaiとのコラボレーションをはじめとした数多くの著名ブランドとの取り組みで、ヴィンテージ業界でも人気が高まっています。これは40年代後半に製造されたファーストモデルで、デニムの生地感やフロントボタン部分にデザインした長方形のボックスステッチなどが、ラングラーと酷似しているのが特徴です。ハートマークの刺繍タグと小ボタンもポイント」

■ストロングホールド

1800年代後、また1900年代初頭にLAで誕生したと言われている老舗。古着好きにはお馴染みのブランドだ。「こちらのブランドのカバーオールは数年に一度見かけるのですが、Gジャンの実物を見たのは約15年ぶり。しかもサイズ42で、リネンパッチもしっかり残っている希少種です。おそらく40年代のもので、コミカルなパッチデザインが特徴です。身幅&アームホールともに太いですね」

■ヘッドライト

カーハートと並び、ワークブランドの中ではトップクラスの人気を誇る。「40年代後半と思われるものです。厚手の生地感で、リーバイスのファーストモデルよりも胸ポケットが下部に配置していたり、フロントがジップ仕様であることと、さらに比翼仕立てでトップボタンを2個備えているのが特徴です。同年代のもので、フロントの作りがジップでなくボタン仕立てのものも存在しますが、そちらもまったく見つかりません」

■モンゴメリーワード

一見すると、ほかのファーストモデルと変わらないが……。「これは胸ポケットが右側にレイアウトされた珍しい1ポケットのデザイン。これまで謎の多いGジャンだったのですが、最近ウェアハウス プレスの藤木将己さんがデニムの歴史を紐解く中で、ある資料からこのGジャンが40年代後半のモンゴメリーワードのものであるということをつきとめました。UNION MADEのトップカバーが使われた4つボタンなので、おそらく大戦モデル。左利きの人用に作られたのだと思います」

■フォアモスト

ヴィンテージファンを魅了し続ける、人気のストア系ブランド。「ポケットがリーバイスよりも下部に配置されているというのが特徴です。1900年代初期のリーバイスのファーストタイプの中には、”ダウンポケット”と呼ばれる、ポケットがかなり下部分についている個体もあって、それに酷似していることから今人気なんです。大きなボックスステッチに加え、着丈がリーバイスよりもやや長く、シルエットがきれいなのも魅力のひとつです」

■藤原裕(ふじはら・ゆたか)

ベルベルジン・ディレクター

原宿のヴィンテージショップ「ベルベルジン」顔役。ヴィンテージデニムマイスターとしても認知されている一方、多くのブランドでデニムをプロデュースするなど、現在のデニム人気を担っている。写真は、酷暑のなかでも容赦なしに出張が続く。そのせいか、先日、宴の席で日焼けしているのか酒焼けしているのか突っ込まれた際、「朝まで飲んだ場合、どっち焼けなんだっけ……?」と答えに窮した次第。明日ってあっち? こっち? どっち?