各国中銀、AI活用も金融政策を委ねるべきでない=BIS

AI要約

国際決済銀行(BIS)が初の人工知能(AI)報告書をまとめ、AIの活用を支持する一方、政策金利設定はAIに委ねてはならないと強調。

主要中央銀行が物価高騰の把握で失敗した反省点や、AIを活用したインフレ予測の重要性、AIが金利設定をする未来について議論。

AIによるリスクや脆弱性発見の可能性、新たなサイバー攻撃リスクや既存リスクの増幅に対するBISの警告。

各国中銀、AI活用も金融政策を委ねるべきでない=BIS

[ロンドン 25日 ロイター] - 世界の中央銀行が加盟する国際決済銀行(BIS)は急速に発展している人工知能(AI)に関する初めての本格的な報告書をまとめた。各中央銀行はAIの強みを活用すべきだとする一方、政策金利の設定についてはAIに委ねてはならないと強調した。

新型コロナウイルス禍やロシアによるウクライナ侵攻を受けた対応で、米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)など主要な中銀は物価高騰の強さを十分に把握できなかったとの反省点が指摘されている。BISは、政策立案者がインフレ予測をより「研ぎ澄ます」ために、リアルタイムでデータを分析できるAIの非常に大きな力を活用する必要があると指摘した。

BIS幹部は、新たなAIモデルがそうしたことが繰り返されるリスクを低下できると指摘した。ただ自動的に金利を設定すべきではないとも強調した。

BIS幹部は、政策金利の調整に基づく借り入れ費用の変動が社会活動にもたらす影響は大きく、高度な判断力が求められるとして、こうした判断は「人間が責任を持つことを望む」と言及した。「AIが金利を設定する未来は想像できない」とも述べた。

BISはAIに関連する8つのプロジェクトを抱えている。BISの研究部門のトップは、政策立案者はAIを「魔法のようなもの」とみなすべきではないとしながらも、AIは膨大な情報の中から必要な情報を探し出し、金融システムの脆弱性を発見するのに役立つと説明した。

一方、BISは、AIには新たなサイバー攻撃などのリスクを招く可能性もあり、銀行の取り付けや金融資産の投げ売りといった既存のリスクを増幅させる恐れもあると警告した。