売れ行き好調 ファミマの「アパレル」と「文具」の共通点とは

AI要約

ファミリーマートが新たに発売した「コンビニエンスウェア」の文具が好調で、コクヨと共同開発した35アイテムを展開している。

同社は衣類だけでなく、文具の販売も始め、デザインやコンセプトにこだわり差別化を図っている。

文具の売り上げ1位は「キャンパスソフトリングノート」で、購入者からは好評を得ている。

売れ行き好調 ファミマの「アパレル」と「文具」の共通点とは

 ファミリーマートが「コンビニエンスウェア」の新ラインとして4月23日に発売した「文具」が好調だ。コクヨと共同開発した文具は、ノートやマーカーセット、消しゴムなど35アイテムを展開している。担当者である永松秀一氏(同社商品本部 CW・雑貨部 CW・雑貨グループ)は「想定以上の売れ行きです」と話す。

 同社は2021年から、「コンビニエンスウェア」というブランド名で靴下やTシャツなどを販売。2023年12月からはスウェットやパーカー、パンツ、といった衣類も展開している。4月に発売した文具はあくまで、コンビニエンスウェアの新ラインという位置付けだ。

 永松氏によると、新ラインの候補は文具一択だったとか。なぜ同社は、アパレルから文具を発売したのだろうか。

 これまで、コンビニで扱う衣料品といえば「雨で濡れた」「うっかり忘れた」といった緊急需要に対応する商品だった。しかし、同社は衣類を進んで手に取りたくなるような「選好品」にすることで、新しいニーズ獲得を目指したのだ。

 デザインをファッションデザイナーの落合宏理氏に依頼した他、素材やシルエット、パッケージにもこだわった。それまでコンビニで売られていた衣料品とは全く異なるコンセプトを打ち出したところ、同社を代表するヒット商品へと成長した。

 コンビニでの文房具も「うっかり忘れた」「失くしてしまった」といった緊急需要に対応する商品という位置付けだった。衣料品と同じ緊急需要向けの商品であれば、「選好品」へとシフトチェンジできる可能性があると考えた。

 加えて、近年、街の文具店は減少傾向にあり、気軽に文具を購入できる場所が少なくなってきている。「デザイン性や機能などにこだわった文具を、コンビニという身近な場所で購入できるようになればと考えました」(永松氏)

 競合の多い文房具市場で選ばれるために、どのように差別化したのか。まずこだわったのがデザインだ。

 文具のデザインは、コンビニエンスウェアと同じく落合氏が担当。アースグレーを基調にポイントとして水色を加え、幅広い世代の生活になじむようなデザインを目指した。その一方で、コンビニエンスウェアの定番商品である「ラインソックス」とそっくりな「ラインソックス消しゴム」(280円)や、ファミリーマートのイメージカラーである青と緑のラインが入った「キャンパス綴じノート」(B5サイズは228円、A6サイズは178円)など遊び心がある商品も用意した。

 中でも永松氏がこだわったのは「マーカーセット」(990円)だ。赤色や青色など分かりやすいカラー展開ではなく、朝から夜までの空の色をテーマにした「空と時間の色」を採用した。1本で太字と細字が使える2WAY仕様とし、太字は塗りつぶしても下の文字が見えるように薄い色で、細字はペンとしても使用できるよう濃い色としている。

 ちなみに、文具の売り上げ1位は「キャンパスソフトリングノート」(B5サイズは358円、A5サイズは348円)で、以下「はさみ」(748円)、「マーカーセット」と続く。購入者からは「ファミリーマートカラーの配色がかわいい」「仕事で使いたい」などの声が寄せられているそうだ。

 2月に開催した2024年度商品戦略発表会において、同社は「文房具も含めて、コンビニエンスウェアの売り上げは昨対比1.5倍を目指す」と意欲を見せた。好調なコンビニエンスウェアの文具は、どこまで売れ行きをけん引できるか。